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医療費控除の明細書と確定申告書(第二表)の書き方を図解しました

医療費控除をする看護師B 医療費控除

こんにちは。税理士の高荷です。

前回に引き続き、サラリーマン等の給与を貰っている人が医療費控除の適用を受ける際の確定申告書の書き方について解説します。

 

前回は、確定申告書Aの第一表まで作成したので、今回は「第二表」及び「医療費控除の明細書」を作成していきます。

実際の確定申告書を使用して図解で説明するので、これを機会に是非確定申告書の作成にチャレンジしてみてください。

 

尚、前回の記事はこちらになります。

【確定申告】医療費控除の確定申告書の書き方と記入例【第一表】

 

平成31年(2019年)4月1日以後に提出する所得税の確定申告書より、給与所得の源泉徴収票等の添付が不要になりました。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

国税庁が確定申告書への源泉徴収票の添付を不要にした本当の理由

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確定申告書A(第二表)の書き方と作成手順

それでは早速、確定申告書A(第二表)の作成方法の解説を始めます。

確定申告書Aの第二表は、このようになっています。

 

【医療費控除を適用した確定申告書A 第二表】

確定申告書A第二表の見本

 

 

確定申告書Aの第二表は、確定申告書の「2番目」の書類です。

基本的には、第一表を補完する内容が記載されます。

 

尚、確定申告書Aは下記国税庁のサイトからダウンロードできます。

 

 

また、前回の「確定申告書(第一表)の解説」でも掲載しましたが、今回の解説は下記の源泉徴収票の内容に基づいて進めていきます。

 

【確定申告書の作成の基になる源泉徴収票

源泉徴収票の見本

 

上記の源泉徴収票の内容は、次のようになっています。

 

【○△□株式会社に勤めるサラリーマンの源泉徴収票】

  1. 年収 … 500万円
  2. 年末調整済み
  3. 扶養家族
    1. 妻(専業主婦)
    2. 長男(学生)
    3. 長女(16歳未満)

 

前回同様、この源泉徴収票の内容に基づいて、確定申告書(第二表)を作成します。

細かい点については、その都度解説していきます。

 

確定申告書A(第二表)の作成方法①

最初に解説するのは、確定申告書A(第二表)の納税者(確定申告書を提出する本人のことで、以下「納税者」で統一します)の情報等を記入する欄になります。

確定申告書A(第二表)の左上の欄です。

 

【納税者の住所・氏名の記入】

確定申告書第二表①

 

  1. 住所
    • 納税者本人の住所を記入します。
  2. フリガナ・氏名
    • 納税者本人の氏名とフリガナを記入します。
  3. その他の欄
    • 住所・氏名欄の上にある「平成□□年分」に、第一表で記入したのと同じ年分を記入します。

 

確定申告書A(第二表)の作成方法②

続いては、住所・氏名の記入欄の下にある「所得の内訳」欄を記入します。

 

【所得の内訳の記入】

確定申告書第二表②

 

  1. 所得の種類
    • サラリーマン等の給与を貰っている人は「給与所得者」に該当するため、所得の種類は「給与」になります。
  2. 種目・所得の生ずる場所又は給与などの支払者の氏名・名称
    • 給与を貰っている会社の住所と会社名を記入します。
    • 会社名だけでも構いません。
  3. 収入金額
    • 源泉徴収票の「支払金額」を転記します。
    • この例では「5,000,000」になります。
  4. 所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額
    • 源泉徴収票の「源泉徴収税額」の金額を転記します。
    • この例では「61,700」になります。
  5. ㊳所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額の合計額
    • 所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額の合計額を記入します。

 

確定申告書A(第二表)の作成方法③

次に解説するのは、第二表の右側の「所得から差し引かれる金額に関する事項」になります。

ここに記入するのは、第一表の「所得から差し引かれる金額」の補足内容です。

第一表に記入したのは「控除額」であり、この第二表に記入するのは「保険料の支払額」や「寡婦、障害者等の詳細情報」になります。

 

【所得から差し引かれる金額に関する事項の記入】

確定申告書第二表③

 

  1. ⑥社会保険料控除
    • 源泉徴収票の「社会保険料等の金額」に記載されている金額を記入します。
    • 社会保険の種類欄には、「源泉徴収票のとおり」と記入しておけば問題ありません。
  2. 小規模企業共済等掛金控除
    • 小規模企業共済等に支払った掛金の金額を記入します。
    • 源泉徴収票の「社会保険料等の金額」の「内書」に数字があれば、その金額を記入します。
  3. 生命保険料控除
    • 源泉徴収票の「生命保険料の金額の内訳」に従って記入します。
  4. 地震保険料の計及び長期損害保険料の計
    • 地震保険料(長期損害保険料)の1年間の支払額を記入します。
    • 源泉徴収票の「地震保険料の控除額」の金額とは、必ずしも一致しません。
  5. ⑩・⑪本人該当事項
    • 納税者本人が寡婦(寡夫)又は勤労学生に該当する場合には、✔を入れます。
    • 寡婦(寡夫)の場合には、該当する理由(死別や離婚)に✔を入れます。
    • 勤労学生の場合には、学校名も記入します。
  6. ⑪障害者控除
    • 本人又は同一生計配偶者若しくは扶養親族が障害者である場合には、その氏名を記入します。
    • 特別障害者に該当するときは、氏名を〇で囲みます。

 

確定申告書A(第二表)の作成方法④

次は、配偶者及び扶養親族の情報を記入します。

源泉徴収票に記載されている配偶者と扶養親族を記入しますが、源泉徴収票には氏名(フリガナ)しか記入されていないため、確定申告書には詳細な情報を記入する必要があります。

 

【配偶者及び扶養親族の記入】

確定申告書第二表⑤

 

  1. ⑫・⑬配偶者(特別)控除
    • 配偶者控除又は配偶者特別控除を受ける場合には、次の事項を記入します。
      1. 配偶者の氏名
      2. 配偶者の生年月日
      3. 配偶者控除か配偶者特別控除のいずれか適用を受ける方に✔
      4. 配偶者のマイナンバー
      5. 配偶者が国外に住んでいる場合には「国外居住」に〇印を付ける(注意点1参照)
  2. ⑭扶養控除(注意点2参照)
    • 扶養控除の適用を受ける場合には、次の事項を記入します。
      1. 扶養親族の氏名
      2. 扶養親族の続柄(納税者本人からみた続柄)
      3. 扶養親族の生年月日
      4. 扶養控除の控除額
      5. 扶養親族のマイナンバー
      6. 扶養親族が国外に住んでいる場合には「国外居住」に〇印を付ける(注意点1参照)
      7. 扶養控除額の合計欄に、控除額の合計額を記入

 

【注意点1】

国外に住む配偶者又は扶養親族について

配偶者(特別)控除の対象になる配偶者又は扶養控除の対象になる扶養親族が、非居住者(日本に住んでいない人)の場合には、下記の書類を確定申告書に添付する必要があります。

  1. 親族関係書類
  2. 送金関係書類

 

但し、サラリーマン等の給与を貰っている人が、年末調整の際に上記2つの書類を会社に提出しているときは、確定申告書に添付する必要はありません。

 

尚、国外に住む扶養親族等の取扱いについては、下記の記事でまとめています。

国外居住親族に係る扶養控除の適用条件【用語の解説から提出書類・手続方法まで】

 

【注意点2】

〔扶養控除について〕

納税者に控除対象扶養親族がいる場合には、年末調整や確定申告の際に一定の控除が受けられます。

これを、扶養控除といいます。

 

扶養親族とは、下記の要件を全て満たす親族の事を言います。

  1. 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)または児童福祉法の規定による里子や老人福祉法の規定により市町村長から養護を委託された老人
  2. 納税者と生計を一にしている
  3. 合計所得金額が38万円以下である(給与収入103万円以下)
  4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でない

 

この扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人が、控除対象扶養親族に該当します。

扶養親族及び控除対象扶養親族については、下記の記事で詳しくまとめているので、参考にしてください。

扶養親族に該当するための4つの要件を詳細に解説しました【扶養控除の適用要件】

扶養控除・扶養親族等の判定方法を9つの個別事例を用いて解説しました

 

一般の控除対象扶養親族の場合には、38万円の扶養控除が受けられますが、下記に掲げる扶養親族については、控除額の優遇措置が設けられています。

 

〔特定扶養親族及び老人扶養親族〕

扶養親族のうち19歳~22歳までの扶養親族は特定扶養親族と呼ばれ、控除額が優遇されます。

また、老人扶養親族とは、70歳以上の扶養親族を言い、特定扶養親族同様、控除額が優遇されています。

尚、老人扶養親族については、さらに同居かどうかで控除額が区別されます。

  1. 老人扶養親族 … 同居していない
  2. 同居老人扶養親族 … 同居している

 

【控除対象扶養親族と特定扶養親族の控除額】

年齢 種別 控除額
16歳~18歳 一般の控除対象扶養親族 38万円
19歳~22歳 特定扶養親族 63万円
  • 年齢は、その年の12月31日の現況で判断します。

 

【控除対象扶養親族と老人扶養親族の控除額】

年齢 種別 控除額
23歳~69歳 一般の控除対象扶養親族 38万円
70歳以上 老人扶養親族 48万円
同居老人扶養親族 58万円
  • 年齢は、その年の12月31日の現況で判断します。

 

確定申告書A(第二表)の作成方法⑤

配偶者(特別)控除の対象となる配偶者と扶養控除の対象となる扶養親族の記入が終わったら、16歳未満の扶養親族の情報を記入します。

16歳未満の扶養親族は、控除対象扶養親族に該当しないため所得税の計算には影響しません。

しかし、住民税の非課税限度額の計算で16歳未満の扶養親族が考慮されるため、「住民税に関する事項」の欄に記載します。

 

【16歳未満の扶養親族の記入】

確定申告書第二表④

 

  1. 住民税に関する事項(16歳未満の扶養親族)
    • 16歳未満の扶養親族がいる場合には、次の事項を記入します。
      1. 16歳未満の扶養親族の氏名
      2. 16歳未満の扶養親族の続柄(納税者本人からみた続柄)
      3. 16歳未満の扶養親族の生年月日
      4. 16歳未満の扶養控除が別居している場合の住所
      5. 16歳未満の扶養親族のマイナンバー
  2. その他の事項
    • 給与・公的年金等に係る所得以外の住民税の徴収方法の選択
      • サラリーマン等の給与を貰っている人については、記入する必要はありません。
    • 配当に関する事項
      • 配当所得があれば記入します。
    • 寄附金税額控除額
      • 住民税に対応する寄附金があれば記入します。
    • 別居の控除対象配偶者、控除対象扶養親族
      • 該当する配偶者・扶養親族がいれば記入します。

 

 

【住民税における寄附金の取扱いについては、下記の記事でまとめています】

【ふるさと納税の確定申告】所得税・住民税における寄付金控除の仕組みと計算方法

【ふるさと納税の確定申告】寄附金控除の確定申告書の書き方と必要書類

ふるさと納税ワンストップ特例制度の仕組みと控除額の計算方法、手続方法

 

確定申告書A(第二表)の作成方法⑥

確定申告書A(第二表)の最後として、医療費控除の金額の記入欄について解説します。

 

【医療費控除の記入】

確定申告書第二表⑥

 

  1. 支払医療費等
    • 1年間の医療費の支払金額を記入します。
  2. 保険金などで補填される金額
    • 医療費の支払いに伴って保険金等を受け取った場合には、その金額を記入します。

 

尚、この欄の金額は、次で解説する「医療費控除の明細書」の内容に基づいて記入します。

 

以上で、確定申告書A(第二表)の作成方法の解説を終わります。

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医療費控除の明細書の書き方と作成手順

続いて、医療費控除の明細書の作成方法を解説します。

医療費控除の明細書は、このようになっています。

 

【医療費控除の明細書】

医療費控除の明細書見本

 

医療費控除については、平成29年分(2017年分)の確定申告から大きな変更が行われました。

従来であれば、病院や薬局へ支払った領収書を1枚ずつ集計して明細書に記載し、且つそれらの領収書を税務署へ提出する必要がありました。

しかし、平成29年分(2017年分)の確定申告から、次のように改正されています。

  1. 医療費の領収書を税務署に提出する必要が無くなった
    • 但し、申告後5年間は自宅で保存する必要があります。
    • また、医療費の明細書は必ず作成して確定申告書と一緒に提出しなければなりません。
  2. 保険組合等から送付された「医療費通知書(医療費のお知らせ)」がある場合には、その医療費通知書(医療費のお知らせ)を確定申告書に添付して提出する
  3. セルフメディケーション税制が創設された

 

尚、医療費の明細書は、国税庁のサイトから入手することができます。

 

 

因みに、医療費通知(医療費のお知らせ)とは、次のような書類です。

 

【医療費のお知らせの見本】

医療費のお知らせの見本

  • 医療費のお知らせには、下記の事項が全て記載されていなければ、医療費控除には使用できません。
    1. 被保険者等の氏名
    2. 療養を受けた年月
    3. 療養を受けた者
    4. 療養を受けた病院診療所、薬局等の名称
    5. 被保険者等が支払った医療費の額
    6. 保険者等の名称

 

医療費控除の明細書の作成方法①

それでは、医療費控除の明細書の書き方を順番に解説していきます。

まずは、医療費控除の明細書の上部分についてです。

 

【医療費控除の明細書の記入①】

医療費控除の明細書①

 

  1. 年分
    • 医療費控除を受ける確定申告の年分を記入します。
    • 平成31年(2019年)の確定申告であれば、平成「30」年分になります。
    • 年分の下の赤枠で囲んだ部分には注意してください。
    • 前述しましたが、医療費控除とセルフメディケーション税制は別の制度なので、重複して適用することはできません。
  2. 氏名
    • 納税者本人の氏名を記入します。
  3. (1)医療費通知書に記載された医療費の額(注意点3参照)
    • 「医療費のお知らせ」に記載された合計額を記入します。
    • 医療費のお知らせによっては、「見込額」という記載をしているものもあります。
    • 上の例では「186,390」になります。
  4. (2)(1)のうちその年中に実際に支払った医療費の額(注意点3参照)
    • 通常は、(1)と同じ金額になります。
    • 上の例では「186,390」になっています。
  5. (3)(2)のうち生命保険や社会保険などで補填される金額
    • 該当する保険金等がある場合に記入します。
    • 上の例では、該当金額がありません。

 

【注意点3】

医療費のお知らせの見方

一般的な医療費のお知らせには、1年間に支払った医療費の金額が載っていますが、1/1~12/31までの医療費の金額が記載されているとは限りません。

下の医療費のお知らせをご覧ください。

 

【医療費のお知らせの見本】

医療費のお知らせの見本

 

この医療費のお知らせには、平成29年11月~平成30年10月までの1年間に支払った医療費の金額が載っています。

しかし、確定申告は、1/1~12/31までの収入(所得)金額や保険料の金額を集計して作成します。

従って、医療費の金額も、該当する年の1/1~12/31までに支払った医療費が対象になります。

 

平成30年分の確定申告を行うのであれば、平成29年分(上記の見本では、上から3つ目まで)は、平成30年分の医療費に含めてはいけないのです。

 

但し、この見本では、最下部の「医療費控除見込額」が「H30.1~H30.10」となっているため、平成29年の分は含まれていません。

そのため、「医療費控除見込額」を医療費控除の明細書に記載することができるのですが、全ての医療費のお知らせが、この見本のようになっているとは限らないため、注意が必要です。

 

医療費控除の明細書の作成方法②

次に、医療費のお知らせには載っていない医療費を記入します。

先ほどの【注意点3】で掲載した「医療費のお知らせの見本」は、平成30年10月までの医療費しか記載されていません。

そのため、平成30年分の確定申告をするのであれば、平成30年11月と12月の医療費も加える必要があります。

 

このような、医療費のお知らせに載っていない医療費の金額については、下の図のように赤枠部分を使って記入することになります。

 

【医療費控除の明細書の記入②】

医療費控除の明細書②

 

  1. 医療費(上記1以外)の明細
    1. 医療費のお知らせに載っていない医療費の金額を記入します。
    2. (1)の「医療を受けた方の氏名」ごと、且つ(2)の「病院・薬局などの支払先の名称」ごとにまとめて記入して構いません。
    3. 医療費控除は、納税者本人だけでなく生計を一にしている親族(家族)の医療費も含めることができます。(注意点4参照)
    4. 赤枠内の青枠で囲まれた部分は、通院のための交通費です。
    5. 通院等のための交通費も、医療費の金額に含まれるので、忘れずに記載してください。
      • 公共の交通機関(電車・バス等)を利用した交通費に限られます。
      • マイカーのガソリン代や駐車場代、タクシー代は含まれません。
      • やむを得ない場合のタクシー代や介護タクシーの料金は含まれます。
    6. (5)の生命保険や社会保険などで補填される金額がある場合には、対象者の欄に記入します。

 

【注意点4】

生計を一にしているとは

上記の3.に出てくる「生計を一にしている」とは、下記のような状態のことを言います。

  • 日常生活を共にしている
  • 日常生活を共にしていなくても、仕事や学校の休暇時には親族のもとで生活している
  • 親族間において、生活費や学費等の送金が行われている
  • 合計所得金額が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない

 

但し、誰でも明確に判断できるようなはっきりとした規定がないため、一般論としてこのように捉えてください。

生活費が同じ財布から出ている = 生計を一にしている

 

後は、それぞれの個別事情を総合的に勘案して判断することになります。

 

医療費控除の明細書の作成方法③

支払った医療費の金額が全て記入出来たら、次にそれらの金額を集計します。

前述した「医療費控除の明細書の作成方法①(医療費のお知らせの金額)」と「医療費控除の明細書の作成方法②(医療費のお知らせ以外の金額)」で記入した金額を合算します。

 

【医療費控除の明細書の記入③】

医療費控除の明細書④

 

  1. 医療費の合計額
    • 次の金額の合計額を記入します
      1. 「医療費控除の明細書の作成方法①」で記入した「医療費のお知らせ」に基づく金額
      2. 「医療費控除の明細書の作成方法②」で記入した「医療費のお知らせ以外医療費」に基づく金額

 

医療費控除の明細書の作成方法④

最後に、医療費控除額を計算し、確定申告書Aに転記します。

 

【医療費控除の明細書の記入④】

医療費控除の明細書③

 

  1. 支払った医療費(A)
    • 医療費の明細書の「A」の金額を転記します。
    • 上記の例では「505,181」
    • この金額を、確定申告書A第二表の「⑱医療費控除」に転記します。
  2. 保険金などで補填される金額(B)
    • 医療費の明細書の「B」の金額を転記します。
    • 上記の例では「100,000」
    • この金額を、確定申告書A第二表の「⑱医療費控除」に転記します。
  3. 差引金額(C)
    • 1.(A)から2.(B)の金額を控除した金額を記入します。
    • 上記の例では「405,181」
  4. 所得金額の合計額(D)
    • 確定申告書A第一表の⑤の金額を記入します。
    • 上記の例では「3,460,000」
  5. D× 0.05(E)
    • 4.(D)に0.05を乗じて計算します。
    • 上記の例では「173,000」
  6. Eと10万円のいずれか少ない金額(F)
    • 5.(E)と10万円を比較して、少ない方の金額を記入します。
    • 上記の例では「100,000」
  7. 医療費控除額(G)
    • 3.(C)から6.(F)を控除した金額を記入します。
    • 上記の例では「305,181」
    • この金額が、医療費控除額になります。(医療費控除の最大控除額は200万円です)
    • この金額を、確定申告書A第一表の「⑱医療費控除」に転記します。(注意点5参照)

 

【注意点5】

確定申告書A第一表の⑱医療費控除の区分について

確定申告書A第一表の⑱医療費控除の欄には、「区分□」があります。

この区分の□は、次のように記入します。

  1. 医療費控除を適用する場合 … 空白
  2. セルフメディケーション税制を適用する場合 …「1」を記入

 

 

以上で、医療費控除の明細書の作成方法の解説を終わります。

 

尚、医療費控除の対象となる医療費の範囲については、下記の記事で詳しくまとめています。

【確定申告】医療費控除の対象となる医療費の範囲

【確定申告】医療費控除の対象となる介護費用の範囲

【確定申告】医療費控除の範囲【禁煙治療・漢方薬・サプリメント・相続など】

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参考資料

今回の記事の最後として、以下の参考資料を掲載します。

  1. セルフメディケーション税制を適用した場合の、セルフメディケーション税制の明細書の書き方
  2. 確定申告書の添付書類台紙

 

セルフメディケーション税制の明細書の作成方法①

参考資料として、セルフメディケーション税制を適用した場合のセルフメディケーション税制の明細書の書き方を掲載します。

尚、確定申告書Aの第一表及び第二表の書き方は、前述した医療費控除の場合と同じです。

セルフメディケーション税制の明細書は、次のような様式になります。

 

【セルフメディケーション税制の明細書の見本】

セルフメディケーション税制を適用した場合の明細書

 

 

【セルフメディケーション税制の注意点】

  1. その年に、納税者本人が下記のいずれかを実施していることが要件になり、それを証明する書類を確定申告書に添付する必要があります。
    1.  保険者(健康保険組合、市区町村国保等)が実施する健康診査(人間ドック、各種検診・健診等)
    2. 市区町村が健康増進事業として行う健康診査(生活保護受給者等を対象とする健康診査)
    3. 予防接種(定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種)
    4. 勤務先で実施する定期健康診断(事業主検診)
    5. 特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
    6. 市町村が健康増進事業として実施するがん検診
  2. 「医療費のお知らせ」のような書類はないため、医薬品等の購入の領収書を自分で集計する必要があります。
  3. 医療費控除との重複適用はできず、どちらか1つを選択して適用しなければなりません。

 

 

尚、セルフメディケーション税制の明細書は、国税庁のサイトから入手できます。

 

また、セルフメディケーション税制については、こちらの記事で詳しく解説しています。

医療費控除とセルフメディケーション税制の有利判定の方法も掲載しています。

医療費控除とセルフメディケーション税制の有利判定【制度の仕組みと控除額の計算方法】

 

セルフメディケーション税制の明細書の作成方法②

【セルフメディケーション税制の明細書①】

セルフメディケーション税制の明細書①

  • 基本的な書き方は、医療費控除の明細書と同じです。
  • 1の「申告する方の健康の保持増進及び疾病の予防への取組」を満たしていないとセルフメディケーション税制の適用は受けられないので、注意してください。

 

【セルフメディケーション税制の明細書②】

セルフメディケーション税制の明細書②

  • 基本的な書き方は、医療費控除の明細書と同じです。
  • セルフメディケーション税制の最大控除額は、88,000円です。

 

尚、サラリーマン等の給与所得者については、スマホから確定申告書を作成し、医療費控除又はセルフメディケーション税制の適用を受けることができます。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

スマホによる確定申告【スマホによるe-Tax利用の事前準備と注意事項】

スマホ(e-Tax)による確定申告書の作成【医療費控除とセルフメディケーション税制の入力】

 

確定申告書の添付書類台紙

確定申告書を提出する際には、定められた添付書類も一緒に提出する必要があります。

その添付書類を提出する際に使用するのが、下の「確定申告書の添付書類台紙」です。

確定申告書の添付書類台紙は、表面と裏面があり、それぞれの面に提出する添付書類を糊付け(又はホチキス止め)して提出します。

 

【確定申告書の添付書類台紙 表面】

添付台帳①

 

【確定申告書の添付書類台紙 裏面】

添付台帳②

  • サラリーマンが医療費控除を適用して確定申告をする際には、以下の添付書類を一緒に提出します。
    1. 給与所得の源泉徴収票
    2. マイナンバーカードのコピー(又は通知書のコピーと免許証のコピー)
    3. 医療費のお知らせ
  • 作成した確定申告書は、以下の順番で重ねて左上をホチキス止めのうえ、税務署に提出します。
    1. 確定申告書A(第一表)
    2. 確定申告書A(第二表)
    3. 確定申告の添付書類台紙
      • 源泉徴収票とマイナンバーカードのコピーは貼付け
      • 医療費のお知らせも貼り付けられる大きさであれば、貼り付け
    4. 医療費控除の明細書(又はセルフメディケーション税制の明細書)
      • 医療費のお知らせがA4サイズであれば、医療費控除の明細書の後に付ける

 

以上で、サラリーマン等が医療費控除の適用を受ける場合の確定申告書の完成です。

お疲れさまでした。

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