自動車を購入した場合の仕訳方法を一から解説しました

購入した自動車でドライブ

こんにちは。税理士の高荷です。

法人や個人事業者にとって、自動車は必須の固定資産になります。

この自動車に関する会計上の仕訳は、事業者や経理担当者にとって頭を悩ませる部分でもあります。

 

そこで今回は、自動車を取得した場合の会計上の仕訳について詳しく解説します。

 

尚、外貨建取引及び給与に係る仕訳について、下記の記事で詳しく解説しています。

外貨建取引の仕訳方法【資産・負債の換算方法と期末決算時の処理】

給与に係る仕訳方法の解説【社会保険料・税金・雇用保険料の会計処理】

自動車購入時の仕訳

まずは、自動車購入時の基本的な仕訳を示します。

次の自動車を購入した場合を、例として取り上げます。

 

例)新車 平成30年10月25日 納車

単位:円、消費税:税抜

番号内容金額
車両本体2,000,000
オプション100,000
付属品200,000
①~③小計2,300,000
自動車税25,000
自動車取得税15,000
自動車重量税10,000
自賠責保険料30,000
④~⑦小計80,000
検査登録3,000
車庫証明2,000
⑧・⑨小計5,000
検査登録手続代行20,000
車庫証明手続代行10,000
納車費用5,000
⑩~⑫小計35,000
シュレッダーダスト料金5,000
エアバッグ類料金3,300
フロン類料金3,400
情報管理料金300
⑬~⑯小計12,000
総合計2,432,000

 

 

上記の例を基にして、仕訳をすると下記のようになります。

 

【自動車購入時の仕訳 (単位:円)】

番号借方勘定科目金額消費税
①~③、⑫車両2,305,000課税
④~⑥租税公課50,000不課税
保険料30,000非課税
⑧・⑨車両費5,000不課税
⑩・⑪車両費30,000課税
⑬~⑮前払金11,700不課税
車両費300課税
  • 基本的に貸方は関係ないため、借方の仕訳のみ表示しています。
  • 仕訳の日付は、納車日である平成30年10月25日付になります。
  • 車両費は、支払手数料等の勘定科目でも構いません。

 

上記の仕訳が、自動車購入時の仕訳(借方のみ)です。

多少のイレギュラーはあるかもしれませんが、基本的には上記の仕訳で問題ありません。

以降は、この仕訳に沿って、それぞれの詳細を解説します。

 

チェック!

仕訳の勘定科目について

上記の車両の仕訳については、私が普段使用している勘定科目を使用しています。

そのため、他の勘定科目で仕訳をしてもらっても、全く構いません。

車両費を支払手数料にしてもらっても良いですし、前払金を預託金にしてもらっても構いません。

但し、以下の点には注意してください。

  • 資産・負債・収益・売上原価・販管費等の区分が同じ勘定科目を使う
  • どの勘定科目を使うにしても、消費税の区分は合わせる

 

この点に注意して、適当な勘定科目を使用してください。

もし、使用する勘定科目に問題があれば、担当税理士がチェックしてくれると思います。

 

自動車の取得価額

それでは、自動車に関する仕訳の基本となる取得価額について説明します。

前述した仕訳では、下表の青色部分の解説になります。

番号借方勘定科目金額消費税
①~③、⑫車両2,305,000課税
④~⑥租税公課50,000不課税
保険料30,000非課税
⑧・⑨車両費5,000不課税
⑩・⑪車両費30,000課税
⑬~⑮前払金11,700不課税
車両費300課税

 

上記の仕訳の「車両」の金額が、「取得価額」になります。

取得価額(しゅとくかがく)とは、次の意味です。

 

取得価額とは

取得価額とは、物を購入した時に掛かった金額のことを言います。

この取得価額には、購入のための手数料や諸費用も含まれます。

つまり、取得価額とは、次のようなものと考えてください。

購入した物の代金 + 物を購入するために要した費用 = 取得価額

 

税法では、この取得価額に含めなければならないものと、含めなくてもよいものが定められています。

自動車の場合には、以下のものが取得価額に含めなければならないものとされています。

  1. 本体価格
  2. 付属品
  3. 納車費用

 

このうち、1番と2番は問題ないと思いますが、3番の納車費用はなぜ取得価額に含まれるのでしょうか?

納車費用は、販売店から購入者への納入にかかる費用(引き取り費用)です。

そのため、自動車の購入のために要した費用として、取得価額に含める必要があります。

尚、これらの取得価額には、消費税が掛かります。

 

チェック!

自動車の購入に係る全ての費用を取得価額に含めたら?

自動車の購入費用全額を取得価額に含めて仕訳をしたらどうなのでしょうか。

例えば、例として挙げている2,432,000円を、このように仕訳します。

借方貸方
車両 2,432,000円未払金 2,432,000円

 

このような仕訳をしても、基本的には構いません。

しかし、いくつか問題があります。

  1. 消費税の区分ができない
    • 前述した仕訳例を見てもらえれば判るように、それぞれ消費税の区分が異なります。
    • 自動車を購入した事業者が、消費税の課税事業者だった場合には、正しい消費税の計算ができなくなります。
  2. 購入した時に、経費として計上した方が購入時の節税になる
    • 全額を車両として計上するよりも、一部を経費として計上した方が、購入した期の節税になります。
    • 但し、減価償却という経費が計上されるため、トータルの経費計上額は同じになります。

 

これらの理由により、全て取得価額に含めずに、細かく分けて仕訳をするのが普通です。

自動車取得時の税金・保険料

続いては、自動車の取得時に係る税金と保険料について解説します。

下の仕訳の表の、青色部分です。

番号借方勘定科目金額消費税
①~③、⑫車両2,305,000課税
④~⑥租税公課50,000不課税
保険料30,000非課税
⑧・⑨車両費5,000不課税
⑩・⑪車両費30,000課税
⑬~⑮前払金11,700不課税
車両費300課税

 

自動車を取得した際には、以下の税金と保険料が掛かります。

  1. 自動車税
  2. 自動車取得税
  3. 自動車重量税
  4. 自賠責保険料

 

この3つの税金と自賠責保険料は、取得価額に含めずに経費として処理することができます。

これらの費用のうち、自動車取得税を除いたものは、取得後に発生する費用と考えられるため取得価額に算入する必要がありません。

尚、自動車取得税は、自動車の取得時に要する税金ですが、法令により取得価額に算入しなくても良いとされています。

これらの税金と保険料に、消費税は掛かりません。

 

チェック!

自賠責保険とは

自賠責保険は、自動車やバイクを運転する場合に、法律(自動車損害賠償保障法)によって加入が義務づけられている強制保険です。

自動車等を運転中に他人にケガをさせたり、死亡させたりした場合の対人賠償事故を補償します。

つまり、被害者がケガをしたり死亡した場合には賠償金が支払われますが、加害者のケガや自動車の破損などには、賠償金は支払われません。

 

 

尚、平成31年度(2019年度)の税制改正により、自動車に関する税金の改正が行われます。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

平成31年度(2019年度)税制改正【与党税制改正大綱】

 

自動車の取得に係る法定費用

自動車の仕訳の3番目として、法定費用について解説します。

法定費用とは、自動車の検査登録や車庫証明に係る費用を言います。

仕訳の表では、下の青色部分です。

番号借方勘定科目金額消費税
①~③、⑫車両2,305,000課税
④~⑥租税公課50,000不課税
保険料30,000非課税
⑧・⑨車両費5,000不課税
⑩・⑪車両費30,000課税
⑬~⑮前払金11,700不課税
車両費300課税

 

法定費用とは

法定費用とは、自動車を所有する場合に必ず支払わなければならない費用で、法律に基づいて定められています。

一般的には、検査や車庫証明、ナンバープレート代等に関して、国などに支払う手数料になります。

これを支払わない限りは、自動車を所有することはできません。

また、広義の法定費用には、自賠責保険料と自動車重量税も含まれるため、これらをまとめて法定費用と呼ぶことも多いです。

 

これらの法定費用は、前述した自動車取得税と同じ理由により、取得価額に含めなくても良いとされています。

尚、法定費用に消費税は掛かりません。

 

チェック!

取得価額に含めなくてもよいとされているもの

以下に掲げる費用は、取得価額に算入しなくても良いとされています。

  1. 次のような租税公課等
    • 不動産取得税又は自動車取得税
    • 新増設に係る事業所税
    • 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用
  2. 建物の建設等のために行った調査、測量、設計、基礎工事等でその建設計画を変更したことにより不要となったものに係る費用
  3. 一旦結んだ減価償却資産の取得に関する契約を解除して、他の減価償却資産を取得することにした場合に支出する違約金
  4. 減価償却資産を取得するための借入金の利子(使用を開始するまでの期間に係る部分)
    • 使用を開始した後の期間に係る借入金の利子は、期間の経過に応じて損金の額に算入します
  5. 割賦販売契約などによって購入した減価償却資産の取得価額のうち、契約において購入代価と割賦期間分の利息や売手側の代金回収のための費用等が明らかに区分されている場合のその利息や費用

(出典 国税庁 タックスアンサー)

 

尚、上記の規定は、自動車に限らず適用されます。

 

自動車の取得に係る代行手数料

続いては、販売店等に支払う代行手数料の取扱いです。

仕訳の表では、下の青色部分の解説になります。

番号借方勘定科目金額消費税
①~③、⑫車両2,305,000課税
④~⑥租税公課50,000不課税
保険料30,000非課税
⑧・⑨車両費5,000不課税
⑩・⑪車両費30,000課税
⑬~⑮前払金11,700不課税
車両費300課税

 

この代行手数料は、法定費用である検査登録や車庫証明の手続を、販売店等にしてもらったことに対する手数料です。

そのため、取得価額に算入すべき費用には該当せず、経費として処理することができます。

尚、この代行手数料には、消費税が掛かります。

 

自動車の取得に係るリサイクル預託金

最後は、リサイクル預託金について解説します。

下記の仕訳の表では、青色の下2行になります。

番号借方勘定科目金額消費税
①~③、⑫車両2,305,000課税
④~⑥租税公課50,000不課税
保険料30,000非課税
⑧・⑨車両費5,000不課税
⑩・⑪車両費30,000課税
⑬~⑮前払金11,700不課税
車両費300課税

 

通常、リサイクル預託金は、次の項目で構成されます。

  • シュレッダーダスト料金
  • エアバッグ類料金
  • フロン類料金
  • 情報管理料金
  • 資金管理料金

 

リサイクル預託金は、その名のとおり預託する(預ける)お金になります。

単に預けているだけなので、経費ではなく「預け金」という資産になります。

そのため、前払金等の勘定科目で資産に計上することになります。

但し、このうち資金管理料金だけは、預け金ではなく預託した資金の管理に対する手数料であるため、経費として処理することができます。

尚、預託金部分は消費税が掛かりませんが、資金管理料金には消費税が掛かります。

 

チェック!

リサイクル預託金とは

リサイクル預託金は、車を廃車にする際に使われます。

車を廃車にする際には、単にゴミとして廃棄するのではなく、再利用できる部分をリサイクルして使います。

そのリサイクルの費用として、預けておくお金がリサイクル預託金になります。

このリサイクル預託金は、自動車リサイクル法により義務付けられており、預けた資金は財団法人自動車リサイクル促進センターが管理します。

 

以上で、自動車の取得に関する仕訳の解説を終わります。

 

【自動車の減価償却についてはこちらの記事でまとめています】
自動車に係る減価償却費を定額法と定率法で計算する方法【基礎から償却方法まで】

【こちらは自動車の売却時の仕訳を解説した記事です】
自動車を売却した場合の仕訳方法を一から解説しました

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会計処理(仕訳)

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