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新築だけじゃない!リフォーム・増改築工事に係る住宅ローン控除について

リフォームをしてギキゲンな女性住宅ローン控除

こんにちは。税理士の高荷です。

過去に住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)に関する記事を何度か掲載しました。

今までに書いた記事は、全て「住宅を購入した場合」の住宅ローン控除に関する解説です。

 

しかし、住宅ローン控除は「住宅を増改築(リフォーム)した場合」であっても適用できます。

昨今、大きな自然災害が続いているので、自宅をリフォームする人も増えていると思います。

 

そこで今回は、住宅を増改築(リフォーム)した場合の住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)について、利用できる制度の種類から手続方法まで体系的に解説します。

さらに、購入時の住宅ローン控除とリフォームの住宅ローン控除の併用についても解説します。

 

尚、確定申告の方法や住宅ローン控除の基本的な内容については、こちらの記事を参考にしてください。

【確定申告】住宅ローン控除の仕組みと控除額の計算方法【適用要件、手続方法、必要書類など】

 

また、平成31年度(2019年度)の税制改正により、住宅ローン控除が一部改正されます。

詳細は、下記の記事を参照してください。

平成31年度(2019年度)税制改正【与党税制改正大綱】

 

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住宅を増改築(リフォーム)した場合に利用できる税制上の制度の種類

まずは、住宅を増改築やリフォーム(以下、全て「リフォーム等」で統一します)した場合に適用できる、税制上の優遇措置について説明します。

実は、リフォーム等をした場合に適用できる税制上の制度は、複数存在します。

 

リフォーム等があった場合に適用できる税制上の制度は、下の3つになります。

  1. 住宅借入金等特別控除
  2. 特定増改築等住宅借入金等特別控除
  3. 住宅特定改修特別税額控除

 

内容については、後ほど詳しく解説するので、次から簡単に各制度の概要を説明します。

 

住宅借入金等特別控除

住宅借入金等特別控除とは、個人が住宅ローンを利用してマイホームを新築したり、リフォーム等をした場合に適用できる制度です。

一般に「住宅ローン控除」と呼ばれるものです。

 

一定の要件を満たすリフォーム等(いわゆる一般的なリフォーム工事)については、この住宅借入金等特別控除を適用することになります。

 

特定増改築等住宅借入金等特別控除

住宅のリフォーム等をした際に適用できる制度として、上の住宅借入金等特別控除とは別に設けられている制度です。

尚、住宅借入金等特別控除と同様に、ローンを組んでいることが条件になります。

 

一定の要件を満たすリフォーム等のうち、下記の工事に該当するものが、この制度の適用を受けることができます。

  1. バリアフリー改修工事
  2. 省エネ改修工事
  3. 多世帯同居改修工事

 

住宅特定改修特別税額控除

住宅のリフォーム等をした際に適用できる制度の3つ目として、住宅特定改修特別税額控除があります。

上の2つの制度は、住宅ローンを組んでいなければ適用できませんが、この制度は住宅ローンを利用していなくても適用することができます。

一定の要件を満たすリフォーム等のうち、下記の工事に該当するものが、この制度の適用を受けることができます。

  1. バリアフリー改修工事
  2. 省エネ改修工事
  3. 多世帯同居改修工事
  4. 耐久性向上改修工事

 

リフォーム等の工事側から見た制度の適用条件

さて、ここまでは税金の制度側から説明してきましたが、ここではリフォーム等の工事側から、適用できる税金の制度を解説します。

 

【改修工事・リフォーム工事別の適用制度一覧】

リフォーム等の内容適用できる制度
(複数ある場合は、いずれか1つ
リフォーム工事全般

  • 大規模な改修工事
  • 地震に備えるための改修工事
  • バリアフリー改修工事
  • 省エネ改修工事 など
  • 住宅借入金等特別控除(※)

今回の記事の内容は、この住宅借入金等特別控除の内容になります。

バリアフリー改修工事
(ローンあり)
  • 住宅借入金等特別控除(※)
  • 特定増改築等住宅借入金等特別控除
  • 住宅特定改修特別税額控除
バリアフリー改修工事
(ローンなし)
  • 住宅特定改修特別税額控除
省エネ改修工事
(ローンあり)
  • 住宅借入金等特別控除(※)
  • 特定増改築等住宅借入金等特別控除
  • 住宅特定改修特別税額控除
省エネ改修工事
(ローンなし)
  • 住宅特定改修特別税額控除
多世帯同居改修工事
(ローンあり)
  • 住宅借入金等特別控除(※)
  • 特定増改築等住宅借入金等特別控除
  • 住宅特定改修特別税額控除
多世帯同居改修工事
(ローンなし)
  • 住宅特定改修特別税額控除
耐久性向上改修工事
  • 住宅特定改修特別税額控除

 

尚、(※)印の住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の内容は、全て同じ内容です。

つまり、下の図のようなイメージになります。

 

【リフォーム工事に係る住宅ローン控除のイメージ図】

住宅ローン控除のイメージ図

 

また、今回解説する内容以外の各制度の詳細(特定増改築等住宅借入金等特別控除及び住宅特定改修特別税額控除)については、下の記事で解説しています。

【バリアフリー改修工事に係る減税制度】

バリアフリー改修工事に係る3つの減税制度について

【省エネ改修工事に係る減税制度】

太陽光発電も対象!省エネリフォーム工事に係る3つの減税制度

【二世帯住宅工事に係る減税制度】

二世帯住宅工事に係る3つの減税制度について詳しく解説します

【耐久性向上改修工事に係る減税制度】

外壁工事などの耐久性向上改修工事に係る所得税の減税制度

 

住宅借入金等特別控除の内容

それでは、最もオーソドックスな制度である住宅借入金等特別控除(以下、「住宅ローン控除」で統一します)について、リフォーム等をした場合の適用要件から手続きまでを解説します。

 

住宅借入金等特別控除の適用要件

リフォーム等について、住宅ローン控除の適用を受ける場合には、下記の8つの要件を全て満たす必要があります。

 

【リフォーム等に係る住宅ローン控除の適用要件】

  1. 自己が所有し、居住している住宅であること
  2. 次のいずれかの工事に該当すること
    1. 増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕又は大規模の模様替えの工事
    2. 分譲マンションうち、その人が所有する部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事(a.に該当するものを除く)
    3. 家屋・分譲マンション(その人が所有する部分に限る)のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕・模様替えの工事(a.及びb.に該当するものを除く)
    4. 建築基準法施行令の構造強度等に関する規定又は地震に対する安全性に係る基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事(a.~c.に該当するものを除く)
    5. バリアフリー改修工事(a.~d.に該当するものを除く)
    6. 省エネ改修工事(a.~e.に該当するものを除く)
  3. リフォーム等の日から6ヶ月以内に居住し、適用を受ける年の12月31日まで引き続き居住していること
  4. 適用を受ける年の合計所得金額が、3,000万円以下であること
  5. リフォーム等をした後の床面積が50㎡以上であり、半分以上が居住用であること
  6. リフォーム等の費用が100万円を超えており、その半分以上が居住用部分のリフォーム代であること
  7. リフォーム等のために、10年以上のローンを組んでいること
  8. 居住した前2年と後2年の間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などを受けていないこと

 

建築基準法に規定する大規模な修繕又は大規模の模様替え

上記の住宅ローン控除の適用要件2.のa.に掲げる「建築基準法に規定する大規模な修繕又は大規模の模様替え」とは、次の内容になります。

 

建築基準法に規定する大規模な修繕又は大規模の模様替えとは、家屋の壁(建築物の構造上重要でない間仕切壁を除く)、柱(間柱を除く)、床(最下階の床を除く)、はり、屋根又は階段(屋外階段を除く)のいずれか一以上について行う過半の修繕・模様替えを言います。

 

チェック!

外壁塗装工事について

外壁塗装工事についても、前述した適用要件を満たせば住宅ローン控除の適用を受けることができます。

但し、以下の点に注意してください。

  1. 外壁塗装を含むリフォーム工事の費用が100万円を超えていること
  2. 自宅の主要構造部の外壁塗装が対象となること
    • フェンスや倉庫などの主要構造部ではない部分の塗装費用は含まれません
  3. 補助金制度を利用した場合は、補助金の金額を工事費用から差し引くこと

 

特に、上記注意点の1.については、ある程度の大規模な工事でないと要件を満たせないと言えます。

なぜなら、通常の外壁塗装の費用は、30~40坪の2階建ての住宅で70~90万円程度が相場だからです。

そのため、工事費用が100万円を超える塗装というのは、ある程度規模が大きな工事にならないと満たせない要件と言えるでしょう。

工事費用が100万円を超える塗装工事としては、以下の工事が考えられます。

  • 建物の外壁・屋根面積が大きく作業範囲が広い工事
  • 耐用年数が長いフッ素塗料など施工単価が高い塗料の工事
  • 外壁と屋根をセットで同時に塗装した工事 など

 

しかし、住宅ローン控除の要件を満たさないからと言って、あえて工事費用を100万円以上に吊り上げるようなことは避けた方が良いです。

無理して塗装費用を吊り上げても、吊り上げた工事費用と住宅ローン控除の減税額との兼ね合いで、プラスマイナスゼロ、下手をするとマイナスになってしまう恐れがあります。

また、工事業者によっては、住宅ローン控除の適用を勧めてくれる良心的な工事業者も存在します。

その際には、工事内容やスケジュール等を工事業者に任せても構いませんが、ご自身でも住宅ローン控除の適用要件等をしっかり把握しておくことが必要と言えます。

 

住宅借入金等特別控除の控除期間及び計算方法

住宅借入金等特別控除の控除額は、リフォーム等の費用の額と住宅ローンの年末残高のいずれか少ない金額に、下の控除率を乗じて計算します。(100円未満の端数は切り捨て)

 

【リフォーム等に係る住宅ローン控除の控除額】

居住の用に供した年期間各年の控除額の計算(控除限度額)
H19.1.1~12.3115年1~10年目 0.6%
(限度額 15万円)
11~15年目 0.4%
(限度額 10万円)
H20.1.1~12.3115年1~10年目 0.6%
(限度額 12万円)
11~15年目 0.4%
(限度額 8万円)
H21.1.1~H22.12.3110年1%(限度額 50万円)
H23.1.1~12.3110年1%(限度額 40万円)
H24.1.1~12.3110年1%(限度額 30万円)
H25.1.1~12.3110年1%(限度額 20万円)
H26.1.1~H33.12.3110年1%(限度額 40万円)
消費税5%時であれば20万円
  • 平成30年分以後の確定申告において適用が受けられるもののみを掲載しています。

 

住宅借入金等特別控除の適用を受けるための手続

リフォーム等に係る住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合には、初年度のみ確定申告をする必要があります。

確定申告をする際に提出しなければならない書類は、次のとおりです。

 

【リフォーム等に係る住宅ローン控除の確定申告に必要な書類】

  1. (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  2. 住宅ローンの年末残高等証明書
  3. 建築確認済証の写し、検査済証の写し又は増改築等工事証明書
  4. 家屋の登記事項証明書又は、請負契約書の写し等
    (リフォーム等をした年月日、費用の額、床面積などが分かる書類 )

 

以上が、リフォーム等に係る住宅ローン控除の適用を受けるための要件から手続きになります。

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新築時の住宅ローン控除とリフォーム時の住宅ローン控除の併用

最後に、新築の住宅ローン控除とリフォーム等の住宅ローン控除を併用する場合について解説します。

新築で家を購入し住宅ローン控除を受けた後に、その家をリフォームをした場合であっても、前の章で解説した要件を満たしていれば、リフォーム等に係る住宅ローン控除も受けることができます。

 

この場合には、リフォーム等に係る住宅ローン控除を最初に受ける年に、確定申告をしなければなりません。

また、新築・リフォームの住宅ローン控除を併用する場合の控除額は、所定の計算方法を使って計算する必要があります。

 

新築・リフォーム等の住宅ローン控除を併用する場合の控除額の計算方法

新築・リフォームの住宅ローン控除を併用する場合には、次の計算方法により控除額を算出します。

  1. 新築分の住宅ローン控除額を計算する
  2. リフォーム分の住宅ローン控除額を計算する
  3. 1.と2.の合計額を計算する
  4. 1.と2.の控除限度額のいずれか多い方を選択する
  5. 3.と4.のいずれか少ない方が控除額となる

 

では、具体例を使って実際に計算してみます。

例)

  • 平成25年に新築一戸建てを購入
    住宅ローン 3,000万円
  • 平成29年にリフォームを行う
    リフォームのローン残高 500万円
    新築のローン残高 2,500万円
  1. 新築分の住宅ローン控除額
    2,500万円 × 1% = 25万円、平成25年の控除限度額は20万円
    25万円 > 20万円  ∴20万円
  2. リフォーム分の住宅ローン控除額
    500万円 × 1% = 5万円、平成29年の控除限度額は40万円
    5万円 < 40万円  ∴5万円
  3. 20万円 + 5万円 = 25万円
  4. 20万円 < 40万円  ∴40万円
  5. 25万円 < 40万円  ∴控除額は25万円(20万円と5万円)

 

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