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自動車を購入した場合の仕訳方法を一から解説しました

購入した自動車でドライブ 会計処理(仕訳)

こんにちは、税理士の高荷です。

法人や個人事業者にとって、自動車は事業に必須の固定資産と言えます。

ただ、事業用の自動車を購入した場合には、正しい仕訳をして帳簿に載せる必要があります。

この自動車に関する会計上の仕訳が、事業者や経理担当者にとって頭を悩ませる部分でもあります。

 

全部経費にしたらアカンの?

自動車税とかどうなるの?

リサイクル料って何?

 

このような疑問にお答えするため、今回は自動車を取得した場合の仕訳方法について詳しく解説したいと思います。

自動車購入時の仕訳は、パターンさえ覚えてしまえば簡単ですので、この記事を参考に自動車の仕訳方法を覚えてしまいましょう!

 

尚、自動車の仕訳と同じように頭を悩ませる「外貨建取引」と「給与」の仕訳について、下記の記事で詳しく解説しています。

こちらの記事も併せて参考にしてください。

ポイントは期末の処理!外貨建取引の仕訳方法について解説します

締め日と支給日に注意!給与に係る仕訳方法について解説します

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自動車購入時の仕訳

まず最初に、自動車購入時の基本的な仕訳を示します。

次に掲げる自動車(新車)を購入した場合を例として、基本的な仕訳の形と、仕訳の「借方」を表示しています。(便宜上、仕訳は全て税抜の金額で行います)

 

例)

  1. 本体価格2,000,000円の新車
  2. 諸費用等合わせて総額2,432,000円をローンで購入
  3. 納車日は平成30年10月25日
  4. 頭金として30万円を平成30年10月1日に現金で支払い
  5. 明細表は下記のとおり

単位:円、消費税:税抜

番号 内容 金額
車両本体 2,000,000
オプション 100,000
付属品 200,000
①~③小計 2,300,000
自動車税 25,000
自動車取得税 15,000
自動車重量税 10,000
自賠責保険料 30,000
④~⑦小計 80,000
検査登録 3,000
車庫証明 2,000
⑧・⑨小計 5,000
検査登録手続代行 20,000
車庫証明手続代行 10,000
納車費用 5,000
⑩~⑫小計 35,000
シュレッダーダスト料金 5,000
エアバッグ類料金 3,300
フロン類料金 3,400
情報管理料金 300
⑬~⑯小計 12,000
総合計 2,432,000

 

上記の明細表を基にして仕訳をすると、次のような仕訳になります。

 

【頭金支払時(単位:円)】

借方 貸方
前払金 300,000 現金預金 300,000

 

【納車時の仕訳 (単位:円)】

借方 貸方
車両 2,305,000 前払金 300,000
租税公課 50,000 未払金 2,132,000
保険料 30,000
車両費 5,000
車両費 30,000
前払金 11,700
車両費 300
  • 先に支払った頭金(前払金)を精算します。(ゼロにします)
  • ローンで購入しているので、頭金以外の残額は未払金となります。
  • 勘定科目は、会社等で使用しているものに変更してもらって構いません。(例えば、「車両費」は、「支払手数料」でもOKです)

 

まず、頭金を支払っている場合には、頭金支払に係る仕訳を行います。(平成30年10月1日)

続いて、自動車の納車日(平成30年10月25日)に、自動車購入に係る仕訳を行います。

以上が、自動車購入時の基本的な仕訳になりますが、自動車購入の仕訳は「納車日」をもって行いますので、契約時や代金支払時ではないことに注意してください。

 

また、【納車時の仕訳】について、上記に掲げた明細表の内容(番号)と照らし合わせると、次のようになります。

 

【納車時の仕訳 借方のみ】

番号 借方勘定科目 金額 消費税
①~③、⑫ 車両 2,305,000 課税
④~⑥ 租税公課 50,000 不課税
保険料 30,000 非課税
⑧・⑨ 車両費 5,000 不課税
⑩・⑪ 車両費 30,000 課税
⑬~⑮ 前払金 11,700 不課税
車両費 300 課税

 

ケースによっては、多少のイレギュラーはあるかもしれませんが、基本的には上記の仕訳で問題ありませんので、以降は、この仕訳(借方)に沿って、それぞれの詳細を解説します。

 

チェック!

【仕訳の勘定科目について】

上記の車両の仕訳については、私が普段使用している勘定科目を使用しています。

そのため、他の勘定科目で仕訳をしてもらっても、全く構いません。

車両費を支払手数料にしてもらっても良いですし、前払金を預託金にしてもらっても構いません。

但し、以下の点には注意してください。

  • 資産・負債・収益・売上原価・販管費等の区分が同じ勘定科目を使う
  • どの勘定科目を使うにしても、消費税の区分は合わせる

 

この点に注意して、適当な勘定科目を使用してください。

もし、使用する勘定科目に問題があれば、担当税理士がチェックしてくれると思います。

 

自動車の取得価額

それでは、自動車に関する仕訳の基本となる取得価額について説明します。

前掲した仕訳(借方のみ)では、下表の青色部分の解説になります。

番号 借方勘定科目 金額 消費税
①~③、⑫ 車両 2,305,000 課税
④~⑥ 租税公課 50,000 不課税
保険料 30,000 非課税
⑧・⑨ 車両費 5,000 不課税
⑩・⑪ 車両費 30,000 課税
⑬~⑮ 前払金 11,700 不課税
車両費 300 課税

 

上記仕訳の「車両」の部分には、「取得価額(しゅとくかがく)」が入ります。

取得価額とは、税法独特の専門用語で、次に掲げる金額を表しています。

 

【取得価額とは】

取得価額とは、物を購入した時に掛かった金額のことを言います。

この取得価額には、本体の購入代金だけでなく、購入のための手数料や諸費用も含まれます。

従って、取得価額は、次のような金額になると考えてください。

購入した物の代金 + 物を購入するために要した費用 = 取得価額

 

税法では、この取得価額に含めなければならないものと、含めなくてもよいものが定められています。

自動車の場合には、以下のものが取得価額に含めなければならないものとされています。

  1. 本体価格
  2. 付属品(オプション料金)
  3. 納車費用

 

このように、自動車の本体価格だけを取得価額とすることは認められていませんので、見積書などの内容をしっかり確認して仕訳を行ってください。

尚、上記3つのうち、1番と2番は問題ないと思いますが、3番の納車費用はなぜ取得価額に含まれるのでしょうか?

納車費用は、販売店から購入者への納入にかかる費用(引き取り費用)です。

そのため、自動車の購入のために要した費用として、取得価額に含める必要があるのです。

さらに、この取得価額は、減価償却の計算にも用いられますので、正しい金額で計上することが求められます。

因みに、これらの取得価額には、消費税が掛かります。

 

チェック!

【自動車の購入に係る全ての費用を取得価額に含めたら?】

自動車の購入費用全額を取得価額に含めて仕訳をしたらどうなるのでしょうか。

例えば、例として挙げている2,432,000円を、このように仕訳しても構わないのでしょうか。

借方 貸方
車両 2,432,000円 未払金 2,432,000円

 

基本的には、このような仕訳をしても構いません。

しかし、いくつか問題があります。

  1. 消費税の区分ができない
    • 前述した仕訳例を見てもらえれば判るように、それぞれ消費税の区分が異なります。
    • 自動車を購入した事業者が、消費税の課税事業者だった場合には、正しい消費税の計算ができなくなります。
  2. 購入した時に、経費として計上した方が購入時の節税になる
    • 全額を車両として計上するよりも、一部を経費として計上した方が、購入した期の節税になります。
    • 但し、減価償却という経費が計上されるため、トータルの経費計上額は同じになります。

 

これらの理由により、全て取得価額に含めずに、細かく分けて仕訳をするのが普通です。

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自動車取得時の税金・保険料

続いては、自動車の取得時に係る税金と保険料について解説します。

下の仕訳の表の、青色部分です。

番号 借方勘定科目 金額 消費税
①~③、⑫ 車両 2,305,000 課税
④~⑥ 租税公課 50,000 不課税
保険料 30,000 非課税
⑧・⑨ 車両費 5,000 不課税
⑩・⑪ 車両費 30,000 課税
⑬~⑮ 前払金 11,700 不課税
車両費 300 課税

 

自動車を取得した際には、以下の税金と保険料が掛かります。

  1. 自動車税
  2. 自動車取得税
  3. 自動車重量税
  4. 自賠責保険料

 

上記の3つの税金と自賠責保険料は、取得価額に含めずに経費として処理することができます

何故なら、これらのうち自動車取得税を除いたものは、自動車の購入後に発生する費用と考えられるため、購入時の費用として取得価額に算入する必要がないからです。

また、自動車取得税についても、実際には自動車の購入時に要する税金(費用)なのですが、法令により取得価額に算入しなくても良いとされています。

尚、これらの税金と保険料に、消費税は掛かりません。

 

チェック!

【自賠責保険とは】

自賠責保険は、自動車やバイクを運転する場合に、法律(自動車損害賠償保障法)によって加入が義務づけられている強制保険です。

自動車等を運転中に他人にケガをさせたり、死亡させたりした場合の対人賠償事故を補償します。

つまり、被害者がケガをしたり死亡した場合には賠償金が支払われますが、加害者のケガや自動車の破損などには、賠償金は支払われません。

 

平成31年度(2019年度)の税制改正により、自動車に関する税金の改正が行われます。

詳しくは、下記の記事でまとめていますので、併せてご覧ください。

自動車税をクレジットカードで納付する際の手順と都道府県別専用サイトについて解説します

2019年(令和元年)からの自動車に関連する税金について詳しく解説します

自動車重量税の税率やエコカー減税の計算方法について解説しました

平成31年度(2019年度)税制改正【与党税制改正大綱】

 

自動車の取得に係る法定費用

自動車の仕訳の3番目として、法定費用について解説します。

法定費用とは、自動車の検査登録や車庫証明に係る費用を言います。

仕訳の表では、下の青色部分です。

番号 借方勘定科目 金額 消費税
①~③、⑫ 車両 2,305,000 課税
④~⑥ 租税公課 50,000 不課税
保険料 30,000 非課税
⑧・⑨ 車両費 5,000 不課税
⑩・⑪ 車両費 30,000 課税
⑬~⑮ 前払金 11,700 不課税
車両費 300 課税

 

【法定費用とは】

法定費用とは、自動車を所有する場合に必ず支払わなければならない費用で、法律に基づいて定められています。

一般的には、検査や車庫証明、ナンバープレート代等に関して、国などに支払う手数料になります。

そして、これを支払わない限りは、自動車を所有することはできません。

また、広義の法定費用には、自賠責保険料と自動車重量税も含まれるため、これらをまとめて法定費用と呼ぶこともあります。

 

この法定費用は、前述した自動車取得税と同じ理由により、取得価額に含めなくても良いとされています。

従って、通常は経費として処理することになります。

尚、法定費用に消費税は掛かりません。

 

チェック!

【取得価額に含めなくても良いとされているもの】

以下に掲げる費用は、取得価額に算入しなくても良いとされています。

  1. 次のような租税公課等
    • 不動産取得税又は自動車取得税
    • 新増設に係る事業所税
    • 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用
  2. 建物の建設等のために行った調査、測量、設計、基礎工事等でその建設計画を変更したことにより不要となったものに係る費用
  3. 一旦結んだ減価償却資産の取得に関する契約を解除して、他の減価償却資産を取得することにした場合に支出する違約金
  4. 減価償却資産を取得するための借入金の利子(使用を開始するまでの期間に係る部分)
    • 使用を開始した後の期間に係る借入金の利子は、期間の経過に応じて損金の額に算入します
  5. 割賦販売契約などによって購入した減価償却資産の取得価額のうち、契約において購入代価と割賦期間分の利息や売手側の代金回収のための費用等が明らかに区分されている場合のその利息や費用

(出典 国税庁 タックスアンサー)

 

尚、上記の規定は、自動車に限らず適用されます。

 

自動車の取得に係る代行手数料

続いては、販売店等に支払う代行手数料の取扱いです。

仕訳の表では、下の青色部分の解説になります。

番号 借方勘定科目 金額 消費税
①~③、⑫ 車両 2,305,000 課税
④~⑥ 租税公課 50,000 不課税
保険料 30,000 非課税
⑧・⑨ 車両費 5,000 不課税
⑩・⑪ 車両費 30,000 課税
⑬~⑮ 前払金 11,700 不課税
車両費 300 課税

 

この代行手数料は、法定費用である検査登録や車庫証明の手続を、販売店等にしてもらったことに対する「手数料」です。

そのため、取得価額に算入すべき費用には該当せず、経費として処理することができます

尚、この代行手数料には、消費税が掛かります。

 

自動車の取得に係るリサイクル預託金

最後は、リサイクル預託金について解説します。

下記の仕訳の表では、青色の下2行になります。

番号 借方勘定科目 金額 消費税
①~③、⑫ 車両 2,305,000 課税
④~⑥ 租税公課 50,000 不課税
保険料 30,000 非課税
⑧・⑨ 車両費 5,000 不課税
⑩・⑪ 車両費 30,000 課税
⑬~⑮ 前払金 11,700 不課税
車両費 300 課税

 

通常、リサイクル預託金は、次の項目で構成されます。

  • シュレッダーダスト料金
  • エアバッグ類料金
  • フロン類料金
  • 情報管理料金
  • 資金管理料金

 

リサイクル預託金は、その名のとおり預託する(預ける)お金という意味です。

単に預けているだけなので、経費ではなく「預け金」という資産になります。

そのため、前払金等の勘定科目で資産に計上することになります。

但し、このうち「資金管理料金」だけは、預け金ではなく預託した資金の管理に対する「手数料」であるため、経費として処理することができます

尚、預託金部分は消費税が掛かりませんが、資金管理料金には消費税が掛かります。

 

チェック!

【リサイクル預託金とは】

リサイクル預託金は、車を廃車にする際に使われます。

車を廃車にする際には、単にゴミとして廃棄するのではなく、再利用できる部分をリサイクルして使います。

そのリサイクルの費用として、預けておくお金がリサイクル預託金になります。

このリサイクル預託金は、自動車リサイクル法により義務付けられており、預けた資金は財団法人自動車リサイクル促進センターが管理します。

 

以上で、自動車の取得に関する仕訳の解説を終わります。

 

【自動車の減価償却についてはこちらの記事でまとめています】

自動車に係る減価償却費を定額法と定率法で計算する方法【基礎から償却方法まで】

【こちらは自動車の売却時の仕訳を解説した記事です】

自動車を売却した場合の仕訳方法を一から解説しました

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