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30万円未満の少額減価償却資産の特例と中小企業投資促進税制について

減価償却資産ロボット 法人税

こんにちは。税理士の高荷です。

小規模な中小企業でも個人事業者でも、設備投資は大事な経営要素になります。

設備投資は、事業者にとって欠かせないものではありますが、同時に資金も必要になります。

折角、大事な資金を使って設備投資をしたのですから、何らかのメリットが欲しいところです。

そんな時に利用したいのが、設備投資に係る税制上の優遇措置です。

 

税制上、設備投資に係る優遇措置はいくつかあります。

今回は、設備投資をした際に利用できるいくつかの優遇措置のうち、下記の事項に該当するものを取り上げて解説したいと思います。

  • 現実的に考えて、小規模な中小企業等でも実践できる
  • 適用条件が厳しくなく、手軽に実践できる

 

この条件を満たす設備投資に係る優遇措置は、現状2つしかありません。

今日は、その2つの優遇措置について、詳しく解説します。

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現在利用できる主な設備投資に係る優遇措置の概要

まずは、現在利用可能な設備投資に係る優遇措置の概要を説明します。

尚、中小企業向きの優遇措置のみ掲載しますので、全ての優遇措置ではありません。

 

【設備投資に係る税制上の優遇措置】

区分 税制上の優遇措置 資本金3,000万円以下の法人・個人事業者 資本金3,000万円~1億円以下の法人
国税 中小企業経営強化税制
100%特別償却
100%特別償却
10%税額控除 7%税額控除
中小企業投資促進税制
30%特別償却 30%特別償却
7%税額控除
商業・サービス業・農林水産業活性化税制
30%特別償却 30%特別償却
7%税額控除
少額減価償却資産の特例 30万円未満の減価償却資産を一括費用計上
地方税 固定資産税の特例 3年間の課税標準額を2分の1に軽減

 

上記の表のうち、今回説明するのは青地の部分の2つの優遇措置になります。

他の3つの優遇措置も、中小企業を対象とした優遇措置ではありますが、適用条件が少し厳しくなっています。

簡単に言うと、このような条件付きになっています。

  • 中小企業経営強化税制 … 経営力向上計画の作成、申請及び認定が必要
  • 商業・サービス業・農林水産業活性化税制 … 一定の機関から経営改善に関する指導が必要
  • 固定資産税の特例 … 設備投資計画を作成し、市町村の認定が必要

 

対して、下記の2つの優遇措置は、認定等の条件がありません。

  • 中小企業投資促進税制
  • 少額減価償却資産の特例

 

前述したように、小規模な中小企業等に対して税制上の優遇措置等を適用する場合には、以下の要件を満たすものが最適だと考えます。

  • 現実的に考えて、小規模な中小企業等でも実践できる
  • 適用条件が厳しくなく、手軽に実践できる

 

なぜなら、小規模な中小企業や個人事業者は、経営者自身が営業活動や現場作業などを行っていることが多いため、書類の作成や認定等に割ける時間が限られているからです。

我々税理士が書類の作成を行うにしても、経営者の協力無しには作成することはできません。

そのため、認定等を受けるまでに時間が掛かってしまったり、内容や書類の不備等により認定が受けられない場合などが考えられます。

ですから、今回は認定等の必要がない2つの優遇措置に絞って、解説することにしました。

 

少額減価償却資産の特例

それでは、2つの優遇措置のうち、比較的分かりやすい少額減価償却資産の特例から解説します。

この特例は、30万円未満の減価償却資産を購入した場合に、その全額を費用として計上することができる規定です。

もう一つの中小企業投資促進税制に比べると、知名度が高い優遇措置と言えます。

しかし、細かい適用要件まで把握している人は少ないと思うので、この記事で確認してもらえたらと思います。

 

少額減価償却資産の特例の概要

この特例の正式名称は、「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」と言います。(長いので、以下「少額減価償却資産の特例」で統一します)

先ほども述べましたが、この規定の内容を簡単に言うと、下記のようになります。

30万円未満の減価償却資産を、一括で経費に落とすことができる

 

しかし、実際には細かい適用要件があります。

中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産を平成18年4月1日から平成32年(2020年)3月31日までの間に取得などして事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができます。

(出典 国税庁 タックスアンサー)

 

黄色のアンダーマーカーの部分が、チェックポイントになります。

では、それぞれのチェックポイントを順番に確認します。

 

中小企業者等とは

少額減価償却資産の特例が適用できるのは、中小企業者等に限定されます。

適用の対象となる中小企業者等とは、次に掲げる事業者になります。

従業員の数が1,000人以下の青色申告法人である中小企業者
青色申告書を提出する中小企業者に該当する個人

 

この、少額減価償却資産の特例は、法人だけでなく個人も適用することができる点が、ポイントになります。

 

尚、この規定における中小企業者の意味は、次のとおりです。

中小企業者とは

  1. 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人
    但し、同一の大規模法人に発行済株式又は出資の総数又は総額の2分の1以上を所有されている法人、及び2以上の大規模法人に発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上を所有されている法人を除く。
  2. 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
  3. 常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人

 

大規模法人とは、資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える法人、又は資本若しくは出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。

 

要約すると、ほとんどの中小企業と個人が対象になると言えます。

尚、ここからの解説については、特に断りが無い限り法人・個人共通の解説になります。

 

30万円未満の判定

購入した減価償却資産が30万円未満かどうか判断する場合に迷うのは、その30万円が税込なのか?税抜なのか?という点だと思います。

購入した減価償却資産が30万円未満かどうかの判定は、次のように規定されています。

会社等が採用している消費税の経理方式に応じて判定します。

 

まとめると、このようになります。

会社の消費税の経理方式 30万円未満の判定
税抜経理 税抜の金額
税込経理 税込の金額
免税事業者 税込の金額

 

具体的な例を挙げて、説明します。

例) 複合機(1台)を購入

  • 税抜金額 … 290,000円
  • 税込金額 … 313,200円

【税抜経理の場合】

290,000円 < 300,000円 ∴全額経費として計上

【税込経理・免税事業者の場合】

313,200円 ≧ 300,000円 ∴全額資産として計上

 

適用期限

この少額減価償却資産の特例は時限立法になっており、下記の適用期限があります。

平成32年(2020年)3月31日までに取得した減価償却資産であること

 

尚、この規定は税制改正のたびに適用期限が延長されていますので、今後も延長される可能性があります。

 

一定の要件とは

この特例の適用を受けるためには、次に掲げる要件を満たす必要があります。

【法人の場合】

  1. 帳簿上で、経費として計上すること(仕訳をすること)
  2. 確定申告書に、この特例の明細書を添付すること

 

【個人の場合】

  1. この特例の適用が受けられるのは、不動産所得・事業所得及び山林所得である
  2. 確定申告書に、この特例の明細書を添付すること

但し、2.に代えて、青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に、次の事項を記載しても差し支えない。

  • 少額減価償却資産の取得価額の合計額
  • 少額減価償却資産について租税特別措置法第28条の2を適用する旨
  • 少額減価償却資産の取得価額の明細を別途保管している旨

 

法人・個人ともに、上記の要件を満たすことが必要になります。

 

その他の注意点

少額減価償却資産の特例については、前述した事項以外にも、下記の注意点があります。

 

経費にできる限度額

この特例は、30万円未満であれば無制限に経費にできるわけではありません。

購入した減価償却資産の合計額が、300万円に達するまでの範囲で経費にできます。

 

尚、この場合の合計額300万円の判定も、会社や個人が採用している消費税の経理方式によります。

 

対象となる減価償却資産

この特例は、機械や備品などの減価償却資産のほか、次に掲げるものも対象となります。

  • ソフトウェア、特許権、商標権等の無形減価償却資産
  • 所有権移転外リース取引に係る賃借人が取得したとされる資産
  • 中古資産

 

少額減価償却資産の特例は強制適用ではない

少額減価償却資産の特例は、強制適用ではありません。

30万円未満の減価償却資産を購入した場合でも、経費にするかどうかは事業者の任意になります。

通常は経費として計上すると思いますが、会社等の状況によっては、通常どおり資産として計上して減価償却をしても構いません。

 

以上で、少額減価償却資産の特例に関する解説を終わります。

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【30万円未満の少額減価償却資産であっても、償却資産税の対象になります】

償却資産税の仕組みと計算方法

 

中小企業投資促進税制

続いては、もう一つの設備投資に係る税制上の優遇措置である、中小企業投資促進税制について解説します。

この中小企業投資促進税制は、中小企業者が一定の機械装置等を購入した場合に、税制上の優遇措置が受けられる制度です。

少額減価償却資産の特例と比べると知名度は低いですが、要件に該当すれば適用できるので、お得な制度と言えます。

 

中小企業投資促進税制の概要

中小企業投資促進税制は、「中小企業者等が機械等を取得した場合等の特別償却(特別控除)制度」と呼ばれます。(長いので、以下「中小企業投資促進税制」で統一します)

冒頭の表でも示しましたが、この税制は次のような内容になります。

税制上の優遇措置 資本金3,000万円以下の法人・個人事業者 資本金3,000万円~1億円以下の法人
中小企業投資促進税制
30%特別償却 30%特別償却
7%税額控除

 

この税制にも、適用要件があります。

中小企業者などが平成10年6月1日から平成31年(2019年)3月31日までの期間(以下「指定期間」といいます。)内に新品の機械及び装置などを取得し又は製作して国内にある製造業、建設業などの指定事業の用に供した場合に、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、特別償却又は税額控除を認めるものです。

(出典 国税庁 タックスアンサー)

 

黄色のアンダーマーカーの部分が、チェックポイントになります。

では、それぞれのチェックポイントを順番に確認します。

 

対象となる事業者

この制度の対象となる事業者は、前述した少額減価償却資産の特例の対象となる事業者と同じです

従業員の数が1,000人以下の青色申告法人である中小企業者
青色申告書を提出する中小企業者に該当する個人

 

尚、この中小企業投資促進税制も、法人だけでなく個人も適用することができる点が、ポイントになります。

個人でもこの制度が使えることはあまり知られていないので、憶えておくと良いと思います。

少額減価償却資産の特例と同様に、ここからの解説は、特に断りが無い限り法人・個人共通の解説になります。

 

適用期限

中小企業投資促進税制も時限立法になっており、下記の適用期限があります。

平成31年(2019年)3月31日までに取得・製造した減価償却資産であること

 

尚、この規定は税制改正のたびに適用期限が延長されていますので、今後も延長される可能性があります。

 

対象となる減価償却資産

この制度の対象となる減価償却資産は、次のとおりです。

 

【中小企業投資促進税制の対象資産】

対象資産 要件
機械及び装置 160万円以上(1台又は1基あたり)
測定工具及び検査工具
(事務処理の能率化、製品の品質管理の向上等に資するもの)
120万円以上(1台又は1基あたり)
1台30万円以上、且つ合計額120万円以上
ソフトウェア
(複写して販売するための原本、開発研究用のもの又はサーバー用のOSのうち一定のものなどは除く)
70万円以上(1個あたり)
合計額70万円以上
普通貨物自動車 車両総重量3.5トン以上
船舶 内航海運業用
  • 尚、全て新品に限ります。

 

チェック!

普通貨物自動車の判定

中小企業投資促進税制の適用上、次の2点を満たす自動車が普通貨物自動車に該当します。

  1. 自動車の登録及び検査に関する申請書等の様式等を定める省令第4条第1項第6号に掲げる自動車検査証(いわゆる車検証)の、最大積載量欄に記載があること。
  2. 実際にその自動車を、貨物の運送の用に供していること。

 

対象となる事業(指定事業)

この制度の対象となる事業は、以下に掲げる事業になります。

【中小企業投資促進税制の対象事業】

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業を除きます。)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、情報通信業、駐車場業、損害保険代理業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、教育、学術支援業、医療、福祉業、協同組合及びサービス業(廃棄物処理業、自動車整備業、機械等修理業、職業紹介・労働者派遣業、その他の事業サービス業)

 

  • 不動産業物品賃貸業、電気業、水道業、娯楽業(映画業を除く)等は、対象になりません
  • 性風俗関連特殊営業に該当する事業も、対象となりません。

 

特別償却とは

さて、ここまで説明してきた要件を満たせば、中小企業投資促進税制の適用が受けられることになります。

適用が受けられる優遇措置は、以下の2つのいずれかを選択することになります。

  • 特別償却(30%)
  • 税額控除(7%)

 

しかし、これだけではどんな優遇措置か分かりませんので、まずは「特別償却(30%)」から、解説したいと思います。

 

特別償却の計算方法

特別償却とは、特別な方法を用いた減価償却の方法を言います。

この特別な方法により計算した減価償却費を、当期の費用として計上することができます。

特別な方法を用いた減価償却とは、具体的には次のように計算します。

【特別償却の計算方法】

減価償却資産の取得価額 × 30% = 特別償却費
  • 船舶の場合は、30%に代えて75%を用います。

 

具体的な計算例で説明します。

例)3月決算の法人

  • 機械装置 200万円で購入
  • 事業に供した日 3月1日(1ヶ月のみ)
  • 耐用年数 10年
  • 償却率 0.2

 

【通常の減価償却費】

200万円 × 0.2 × 1/12 = 33,333円(月割り)

【特別償却費】

200万円 × 30% = 600,000円(月割り不要)

【当期に計上できる減価償却費の合計】

33,333円 + 600,000円 = 633,333円

 

このように、特別償却は、通常の減価償却に加えて実施することができます。

上の例の場合では、特別償却を適用しなければ、減価償却費は33,333円しか計上することができません。

しかし、特別償却をすることによって、600,000円が追加で経費になるため、合計で633,333円を減価償却費として計上することができます。

 

尚、減価償却については、こちらの記事で詳しくまとめています。

自動車に係る減価償却費を定額法と定率法で計算する方法【基礎から償却方法まで】

 

特別償却の繰越

この特別償却費は、1年間だけであれば繰り越すことができます。

これについても、上の例を用いて説明します。

例)3月決算の法人

  • 機械装置 200万円で購入
  • 事業に供した日 3月1日(1ヶ月のみ)
  • 耐用年数 10年
  • 償却率 0.2
  • 特別償却前の当期利益 30万円
  • 特別償却費 60万円

上記の例の場合には、特別償却費60万円を全額経費に計上すると赤字になってしまいます。

このような時に、特別償却費60万円のうち10万円だけを当期に計上して、残りの50万円は翌期に繰り越すという方法を採ることもできます。

 

尚、繰り越せる期間は1年間だけです。

この辺は、経営者というよりも税理士がチェックしておくべき事になります。

 

特別償却の注意点

特別償却の最後の解説として、一つ注意点を挙げておきます。

前述したとおり、特別償却は通常の減価償却費に加算して計上することができます。

しかし、全体としての減価償却費が増えるわけではありません。

 

これは、特別償却のデメリットと言えるかもしれません。

なぜなら、特別償却の仕組みは、このようになっているからです。

特別償却は、将来の減価償却費を先取りして、当期に計上しているだけ

 

そのため、先ほどの例で挙げた200万円の機械装置についても、特別償却を適用してもしなくてもトータルでの減価償却費は、同じ金額になります。

通常の場合よりも60万円多く減価償却費が計上できるわけではありませんので、その点はご注意ください。

ですから特別償却は、基本的には特別償却費を計上した年度限定の節税方法と言えます。

 

以上が、中小企業投資促成税制の優遇措置の一つである、特別償却の解説になります。

 

【その他の法人の節税に関連する記事】

未払費用を使った節税方法とそのデメリット

短期前払費用の特例を使った節税方法とそのデメリット

 

税額控除とは

続いては、もう一つの優遇措置である税額控除について解説します。

税額控除の意味は分からなくても、言葉自体は聞いたことがあるという人も多いかもしれません。

この税額控除とは、次のような制度になります。

一定の方法により計算した金額を、税金から直接引いてくれる制度

 

税額控除の計算方法

それでは、中小企業投資促進税制における税額控除の計算方法と仕組みを解説します。

【税額控除の計算方法】

減価償却資産の取得価額 × 7% = 税額控除額

 

特別償却の場合と同様に、具体的な例を使って説明します。

例)3月決算の法人

  • 機械装置 200万円で購入
  • 当期の法人税額 50万円

 

【税額控除額】

200万円 × 7% = 14万円

【当期の法人税額】

50万円 - 14万円 = 36万円

 

このように、法人税額を直接減らしてくれるのが、税額控除の特徴になります。

元々50万円だった法人税が、税額控除を適用することにより36万円まで減らすことができます。

さらに、法人税の金額は一部の地方税の計算にも関わってきますので、実際の節税効果は7%+αになります。

 

税額控除の注意点

法人税を直接減らしてくれる税額控除ですが、その適用に当たっては次の3つの注意点があります。

  1. 税額控除には限度額がある
  2. 資本金3,000万円超の企業では適用できない
  3. 特別償却と併用できない

 

税額控除には限度額がある

この税額控除には、法人税の20%を上限とするという限度額が設けられています。

簡単な例を挙げると、このようになります。

例)3月決算の法人

  • 機械装置 500万円で購入
  • 当期の法人税額 100万円

 

【税額控除額】

500万円 × 7% = 35万円

【税額控除の限度額】

100万円 × 20% = 20万円

【法人税から控除できる税額控除額】

35万円 > 20万円 ∴20万円

【当期の法人税額】

100万円 - 20万円 = 80万円

 

このように、最大でも当期の法人税の20%までしか控除することができません。

但し、特別償却と同じように、下記の規定があります。

控除できなかった部分は、翌年に繰り越すことができる。

繰り越すことができるのは1年間だけです。

これも、税理士がきちんとチェックすべき項目になります。

 

資本金3,000万円超の企業では適用できない

税額控除が適用できるのは、資本金3,000万円以下の法人、又は個人になります。

税制上の優遇措置 資本金3,000万円以下の法人・個人事業者 資本金3,000万円~1億円以下の法人
中小企業投資促進税制
30%特別償却 30%特別償却
7%税額控除

 

資本金3,000万円超(1億円以下)の法人は、要件に該当した場合でも30%の特別償却しか適用できません。

 

特別償却と税額控除は併用できない

上の表を見てもらっても分かるとおり、資本金3,000万円以下の法人、又は個人であっても、特別償却と税額控除は一緒に適用することができません。

どちらかの選択適用になります。

 

以上で、中小企業投資促進税制の税額控除に関する解説を終わります。

 

特別償却と税額控除はどちらが有利か

最後に、特別償却と税額控除は、どちらを選んだ方が得なのかを解説します。

一般的には、税額控除の方が有利になります。

 

その理由は、特別償却のデメリットとしても説明しましたが、特別償却を適用してもトータルとしての減価償却費は変わらないからです。

トータルでの減価償却費が変わらないということは、トータルでの税金の金額も変わらないことになります。

特別償却を適用してもしなくてもトータルの税金の金額が変わらないのであれば、税額控除を適用した方が有利になります。

 

但し、必ずしも税額控除の方が有利になるとは言い切れません。

その時々の会社等の状況に応じて判断するのが、適切だと思います。

 

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