当サイトは
アフィリエイト広告を利用しています

源泉控除対象配偶者、同一生計配偶者及び控除対象配偶者の違いと範囲

女子力をアピールする配偶者源泉所得税

こんにちは。税理士の髙荷です。

平成30年(2018年)に、配偶者控除と配偶者特別控除の改正が行われました。

それに伴い「配偶者」の区分が非常に複雑になっています。

 

今まで(改正前)は、配偶者の区分は1つだけでした。

  1. 控除対象配偶者

 

それが、平成30年(2018年)の改正により、次の3つの区分に分かれることになりました。

  1. 源泉控除対象配偶者
  2. 同一生計配偶者
  3. 控除対象配偶者

 

従来の「控除対象配偶者」に、「源泉控除対象配偶者」と「同一生計配偶者」が追加され、さらに「控除対象配偶者」の定義も今までとは変わっています。

 

今回は、この3つの「配偶者の区分」について、その違いと範囲、それぞれに適用される制度の内容を解説します。

 

尚、解説を分かりやすくするために、今回は全て以下を前提として解説します。

  1. 本人 ⇒ 夫 ⇒ サラリーマン(収入は給与のみ)
  2. 配偶者 ⇒ 妻 ⇒ パート(収入は給与のみ)
スポンサーリンク

源泉控除対象配偶者とは【令和元年(2019年)まで】

最初に、3つの配偶者の区分のうち「源泉控除対象配偶者」について解説します。

源泉控除対象配偶者とは、次の全ての要件を満たす配偶者を言います。

但し、ここで解説する源泉控除対象配偶者は、令和元年(2019年)までの源泉控除対象配偶者になります。

 

【源泉控除対象配偶者の要件】

  1. 本人の合計所得金額が900万円以下
    • 給与収入のみの場合には、年収1,120万円以下
  2. 本人と生計を一にする配偶者の合計所得金額が85万円以下
    • 給与収入のみの場合には、年収150万円以下
  3. 青色事業専従者として給与の支払いを受けていない人
  4. 白色事業専従者に該当しない人

 

源泉控除対象配偶者の範囲を示す一覧表【令和元年(2019年)まで】

この「源泉控除対象配偶者」を、「配偶者控除の控除額一覧表」と「配偶者特別控除の控除額一覧表」で示すと、次のようになります。

 

【配偶者控除の控除額一覧表】

【妻の年収と年齢】【夫の年収】【控除額】
103万円以下
70歳未満
(その年の12月31日現在)
1,120万円以下38万円
1,120万円超、1,170万円以下26万円
1,170万円超、1,220万円以下13万円
1,220万円超ゼロ
103万円以下
70歳以上
(その年の12月31日現在)
1,120万円以下48万円
1,120万円超、1,170万円以下32万円
1,170万円超、1,220万円以下16万円
1,220万円超ゼロ

 

配偶者控除のうち、上表の「緑色の部分(白抜き文字)」が、源泉控除対象配偶者に該当します。

 

【配偶者特別控除の控除額一覧表】

【妻の年収】【夫の年収】【控除額】
103万円超、
150万円以下
1,120万円以下38万円
1,120万円超、1,170万円以下26万円
1,170万円超、1,220万円以下13万円
150万円超、
155万円以下
1,120万円以下36万円
1,120万円超、1,170万円以下24万円
1,170万円超、1,220万円以下12万円
155万円超、
160万円以下
1,120万円以下31万円
1,120万円超、1,170万円以下21万円
1,170万円超、1,220万円以下11万円
160万円超、
166.8万円未満
1,120万円以下26万円
1,120万円超、1,170万円以下18万円
1,170万円超、1,220万円以下9万円
166.8万円以上、
175.2万円未満
1,120万円以下21万円
1,120万円超、1,170万円以下14万円
1,170万円超、1,220万円以下7万円
175.2万円以上、
183.2万円未満
1,120万円以下16万円
1,120万円超、1,170万円以下11万円
1,170万円超、1,220万円以下6万円
183.2万円以上、
190万円未満
1,120万円以下11万円
1,120万円超、1,170万円以下8万円
1,170万円超、1,220万円以下4万円
190万円以上、
197.2万円未満
1,120万円以下6万円
1,120万円超、1,170万円以下4万円
1,170万円超、1,220万円以下2万円
197.2万円以上、
201.6万円未満
1,120万円以下3万円
1,120万円超、1,170万円以下2万円
1,170万円超、1,220万円以下1万円
201.6万円以上夫の年収に関わらずゼロ
妻の年収に関わらず1,220万円超ゼロ

 

配偶者特別控除のうち、上表の「緑色の部分(白抜き文字)」が、源泉控除対象配偶者に該当します。

 

源泉控除対象配偶者とは【令和2年(2020年)から】

令和2年(2020年)分の所得税から改正が実施され、源泉控除対象配偶者についても、次のように変更されています。

 

【源泉控除対象配偶者の要件】

  1. 扶養控除等申告書を提出する本人の合計所得金額が900万円以下
    • 所得金額調整控除(※)の適用を受ける場合、給与収入11,100,000円以下
    • 所得金額調整控除(※)の適用を受けない場合、給与収入10,950,000円以下
  2. 配偶者の合計所得金額が95万円以下
    • 給与収入のみの場合には、年収150万円以下
  3. 青色事業専従者として給与の支払いを受けていない人
  4. 白色事業専従者に該当しない人

 

(※)所得金額調整控除について

所得金額調整控除を受ける場合には、給与収入11,100,000円であれば、次の計算により所得金額が900万円になります。

11,100,000円 - 1,950,000円 -(10,000,000円 - 8,500,000円)× 10/100 = 9,000,000円

所得金額調整控除を受けない場合には、給与収入10,950,000円であれば、次の計算により所得金額が900万円になります。

10,950,000円 - 1,950,000円 = 9,000,000円

 

尚、所得金額調整控除については、下記の記事を参考にしてください。

2020年(令和2年)分以後の所得税に適用される8つの改正内容について

 

源泉控除対象配偶者に適用される制度

源泉控除対象配偶者に該当すれば、次の税制上の優遇措置が受けられます。

  1. 配偶者控除 … 38万円
    • 70歳以上の配偶者(老人控除対象配偶者)は48万円
  2. 配偶者特別控除 … 38万円
  3. 毎月の給料から天引きされる源泉所得税の計算において、「扶養親族等1名分」として加算される

 

毎月の給与から天引きされる源泉所得税は、基本的に次の2つの要素を使って計算されます。

  1. 社会保険料等を控除した後の給与の金額
  2. 扶養親族等の数

 

扶養親族等の人数が多い方が天引きされる源泉所得税が少なくなるため、源泉控除対象配偶者に該当すれば扶養親族等が1人多くなり、給与の手取額も多くなります。

 

尚、毎月の給与から天引きされる源泉所得税は、「源泉徴収税額表」を使って計算することができます。

スポンサーリンク

同一生計配偶者とは

続いては、「同一生計配偶者」について解説します。

同一生計配偶者は、以下の要件を満たす配偶者が該当します。

 

【同一生計配偶者の要件】

  1. 本人と生計を一にする配偶者の合計所得金額が38万円以下
    • 給与収入のみの場合には、年収103万円以下
  2. 青色事業専従者として給与の支払いを受けていない人
  3. 白色事業専従者に該当しない人

 

但し、令和2年(2020年)分の所得税からは、上記1.の「合計所得金額が38万円以下」が、「合計所得金額が48万円以下」に変わります。

 

同一生計配偶者の要件は、改正前(平成29年まで)の「控除対象配偶者」の要件と同じです。

 

同一生計配偶者の範囲を示す一覧表

この「同一生計配偶者」を、「配偶者控除の控除額一覧表」と「配偶者特別控除の控除額一覧表」で示すと、次のようになります。

 

【配偶者控除の控除額一覧表】

【妻の年収と年齢】【夫の年収】【控除額】
103万円以下
70歳未満
(その年の12月31日現在)
1,120万円以下38万円
1,120万円超、1,170万円以下26万円
1,170万円超、1,220万円以下13万円
1,220万円超ゼロ
103万円以下
70歳以上
(その年の12月31日現在)
1,120万円以下48万円
1,120万円超、1,170万円以下32万円
1,170万円超、1,220万円以下16万円
1,220万円超ゼロ

 

配偶者控除のうち、上表の「青色の部分(白抜き文字)」全てが、同一生計配偶者に該当します。

 

【配偶者特別控除の控除額一覧表】

【妻の年収】【夫の年収】【控除額】
103万円超、
150万円以下
1,120万円以下38万円
1,120万円超、1,170万円以下26万円
1,170万円超、1,220万円以下13万円
150万円超、
155万円以下
1,120万円以下36万円
1,120万円超、1,170万円以下24万円
1,170万円超、1,220万円以下12万円
155万円超、
160万円以下
1,120万円以下31万円
1,120万円超、1,170万円以下21万円
1,170万円超、1,220万円以下11万円
160万円超、
166.8万円未満
1,120万円以下26万円
1,120万円超、1,170万円以下18万円
1,170万円超、1,220万円以下9万円
166.8万円以上、
175.2万円未満
1,120万円以下21万円
1,120万円超、1,170万円以下14万円
1,170万円超、1,220万円以下7万円
175.2万円以上、
183.2万円未満
1,120万円以下16万円
1,120万円超、1,170万円以下11万円
1,170万円超、1,220万円以下6万円
183.2万円以上、
190万円未満
1,120万円以下11万円
1,120万円超、1,170万円以下8万円
1,170万円超、1,220万円以下4万円
190万円以上、
197.2万円未満
1,120万円以下6万円
1,120万円超、1,170万円以下4万円
1,170万円超、1,220万円以下2万円
197.2万円以上、
201.6万円未満
1,120万円以下3万円
1,120万円超、1,170万円以下2万円
1,170万円超、1,220万円以下1万円
201.6万円以上夫の年収に関わらずゼロ
妻の年収に関わらず1,220万円超ゼロ

 

配偶者特別控除のうち、同一生計配偶者に該当する部分はありません。

 

同一生計配偶者に適用される制度

同一生計配偶者に該当すれば、次の税制上の優遇措置が受けられます。

  1. 配偶者控除 … 38万円~ゼロ(夫の年収による)
    • 70歳以上の配偶者(老人控除対象配偶者)は48万円からゼロまで
  2. 配偶者特別控除 … なし
  3. 同一生計配偶者が障害者控除の対象となる場合
    • 扶養親族として障害者控除を受けることができる
    • 毎月の給料から天引きされる源泉所得税の計算において、「扶養親族等1名分」として加算される

 

【扶養親族等の注意点】

毎月の給料から天引きされる源泉所得税の計算要素である「扶養親族等」は、具体的には次に該当する人を指します。

  1. 源泉控除対象配偶者
  2. 控除対象扶養親族老人扶養親族又は特定扶養親族を含む)

 

基本的には、上記の1.及び2.に該当する人を「扶養親族等1名分」としてカウントします。

つまり、源泉控除対象配偶者が1名、控除対象扶養親族が2名いる場合には、扶養親族等の数は「3名」になります。

 

さらに、次に掲げる要件に該当する人は、その該当する人数を扶養親族等の数に加えます。

  1. 本人が障害者(特別障害者を含む)
  2. 本人が寡婦(特別の寡婦を含む)
  3. 本人が寡夫
  4. 本人が勤労学生
  5. 同一生計配偶者及び扶養親族のうちで、次に該当する人
    1. 障害者(特別障害者を含む)
    2. 同居特別障害者(障害者及び特別障害者を含む)
    3. 同居特別障害者(障害者及び特別障害者を含む)で一定の要件を満たす国外居住親族

 

例えば、次のような家族構成の場合には、扶養親族等の数は「5名」になります。

  1. 源泉控除対象配偶者
  2. 控除対象扶養親族(2名)
    • うち、1名が同居特別障害者である特別障害者

 

≪扶養親族の数え方≫

  1. 源泉控除対象配偶者 … 1名
  2. 控除対象扶養親族 … 2名
  3. 特別障害者 … 1名
  4. 同居特別障害者 … 1名
  5. a.~d.の合計 … 5名

 

給料から天引きされる源泉所得税の計算に使う「扶養親族等」は、上記のように計算します。

そのため、同一生計配偶者については、次の点に注意してください。

 

【同一生計配偶者が扶養親族等の数に含まれるケース】

  1. 同一生計配偶者に該当し、且つ源泉控除対象配偶者にも該当する
  2. 同一生計配偶者に該当し、且つ障害者控除の対象となる障害者にも該当する

 

同一生計配偶者が、給与から天引きされる源泉所得税の計算上「扶養親族等」に含まれるのは、この2つのパターンだけです。

従って、同一生計配偶者に該当するだけでは、必ずしも「扶養親族等」に該当するとは限らないことに注意してください。

 

尚、同一生計配偶者の合計所得金額要件は、2020年分の所得税から改正されます。

2020年分以後の所得税に適用される8つの改正【平成30年度の税制改正】

 

控除対象配偶者とは

最後に、「控除対象配偶者」について解説します。

控除対象配偶者とは、次の要件を満たす配偶者を言います。

 

【控除対象配偶者の要件】

  1. 本人の合計所得金額が1,000万円以下
    • 給与収入のみの場合には、年収1,220万円以下
  2. 配偶者が「同一生計配偶者」に該当

 

但し、令和2年(2020年)分の所得税からは、上記1.の要件が変わります。

詳しくは、こちらの記事を参照してください。

2020年(令和2年)分以後の所得税に適用される8つの改正内容について

 

「控除対象配偶者」という用語は、平成29年(改正前)以前から存在する用語ですが、改正前と改正後では、その定義が変更になっています。

 

控除対象配偶者の範囲を示す一覧表

「控除対象配偶者」を、「配偶者控除の控除額一覧表」と「配偶者特別控除の控除額一覧表」で示すと、次のようになります。

 

【配偶者控除の控除額一覧表】

【妻の年収と年齢】【夫の年収】【控除額】
103万円以下
70歳未満
(その年の12月31日現在)
1,120万円以下38万円
1,120万円超、1,170万円以下26万円
1,170万円超、1,220万円以下13万円
1,220万円超ゼロ
103万円以下
70歳以上
(その年の12月31日現在)
1,120万円以下48万円
1,120万円超、1,170万円以下32万円
1,170万円超、1,220万円以下16万円
1,220万円超ゼロ

 

配偶者控除のうち、上表の「赤色の部分(白抜き文字)」が、控除対象配偶者に該当します。

 

【配偶者特別控除の控除額一覧表】

【妻の年収】【夫の年収】【控除額】
103万円超、
150万円以下
1,120万円以下38万円
1,120万円超、1,170万円以下26万円
1,170万円超、1,220万円以下13万円
150万円超、
155万円以下
1,120万円以下36万円
1,120万円超、1,170万円以下24万円
1,170万円超、1,220万円以下12万円
155万円超、
160万円以下
1,120万円以下31万円
1,120万円超、1,170万円以下21万円
1,170万円超、1,220万円以下11万円
160万円超、
166.8万円未満
1,120万円以下26万円
1,120万円超、1,170万円以下18万円
1,170万円超、1,220万円以下9万円
166.8万円以上、
175.2万円未満
1,120万円以下21万円
1,120万円超、1,170万円以下14万円
1,170万円超、1,220万円以下7万円
175.2万円以上、
183.2万円未満
1,120万円以下16万円
1,120万円超、1,170万円以下11万円
1,170万円超、1,220万円以下6万円
183.2万円以上、
190万円未満
1,120万円以下11万円
1,120万円超、1,170万円以下8万円
1,170万円超、1,220万円以下4万円
190万円以上、
197.2万円未満
1,120万円以下6万円
1,120万円超、1,170万円以下4万円
1,170万円超、1,220万円以下2万円
197.2万円以上、
201.6万円未満
1,120万円以下3万円
1,120万円超、1,170万円以下2万円
1,170万円超、1,220万円以下1万円
201.6万円以上夫の年収に関わらずゼロ
妻の年収に関わらず1,220万円超ゼロ

 

配偶者特別控除のうち、控除対象配偶者に該当する部分はありません。

 

控除対象配偶者に適用される制度

控除対象配偶者に該当すれば、次の税制上の優遇措置が受けられます。

  1. 配偶者控除 … 38万円~13万円(夫の年収による)
    • 70歳以上の配偶者(老人控除対象配偶者)は48万円から16万円まで
  2. 配偶者特別控除 … なし

 

控除対象配偶者のイメージとしては「同一生計配偶者のうち、必ず配偶者控除を受けられる配偶者」といったところでしょうか。

 

源泉控除対象配偶者、同一生計配偶者及び控除対象配偶者の範囲のまとめ

参考資料として、3種類の配偶者の範囲を簡単にまとめた図を掲載して終わりたいと思います。

 

【源泉控除対象配偶者の範囲】

源泉控除対象配偶者の範囲

  • 緑枠の部分が「源泉控除対象配偶者の範囲」です。

 

 

【同一生計配偶者の範囲】

同一生計配偶者の範囲

  • 薄青枠の部分が「同一生計配偶者の範囲」です。

 

 

【控除対象配偶者の範囲】

控除対象配偶者の範囲

  • 赤枠の部分が「控除対象配偶者の範囲」です。
テキストのコピーはできません。