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資金繰りが苦しくなる原因と資金繰りを楽にする方法をお教えします

どんと来いサラリーマン資金繰り

こんにちは、税理士の高荷です。

さて、当ブログ内で、過去何度か「資金繰り」について解説してきました。

資金繰りとは、会社の資金が不足しないようにお金のやり繰りをすることを言い、将来に向けての資金の流れを円滑にする「事前的な経営活動」です。

この資金繰りは会社の経営に深く関わっており、悪化してしまうと、会社の倒産という結果を招くことも考えられます。

 

恐らく、経営者のほとんどは「資金繰りの大切さ」を理解してると思いますが、資金繰りの悪化により倒産する会社が後を絶たないのも事実です。

なぜ、資金繰りの重要性が分かっているにも拘わらず、資金が不足してしまうのでしょうか?

今回は、この「資金繰りが悪化する原因」を主題に、それを改善する方法についても解説したいと思います。

資金繰りに悩む経営者の一助になれば幸いです。

尚、資金繰りに関連する内容を、下記の記事でまとめていますので、併せて参考にしてください。

キャッシュフローと資金繰りの違いについて分かりやすく解説します

なぜ会社にとって資金繰りが重要なのか?を分かりやすく解説します

現金は嘘をつきません!黒字倒産の仕組みと原因を解説します

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資金繰りを悪化させる原因

事業の資金繰りが悪化する原因は色々あるのですが、大まかに分けると次の4つに分類されます。

 

【資金繰りが悪化する原因】

  1. 収入面
  2. 支出面
  3. 政策面
  4. 意識面

 

この4つの原因について、次から細かく解説していきます。

 

資金繰りが悪化する原因①・②【収入面と支出面】

資金繰りの悪化は、「収入 ≦ 支出」という状態が引き起こすものです。

つまり、収入が支出に追いついてない状態が資金繰りの悪化を招くわけですが、「収入 ≦ 支出」となる主な要因は、次に掲げる項目になります。

 

【収入面の問題】

  1. 売上の減少
    • 売上そのものが減少してしまっている
  2. 売掛代金の未回収
    • 売掛金が増加するだけで、収入に結びつかない
    • 売掛金の支払いを先延ばしにされた
  3. 在庫の増加
    • 商品等の仕入が増加するだけで、売上に結びつかない
  4. 貸倒れ(回収不能)
    • 相手先の倒産等により、売掛金が回収不能となった

 

【支出面の問題】

  1. 仕入・経費の増加
    • 仕入・経費等の費用が増加している
  2. 代金の早期支払い
    • 買掛金等の支払いサイクルが早い
    • 買掛金等の支払いを繰上げられた
  3. 借入金の早期返済又は金利のアップ
  4. 設備投資
    • 過剰な設備投資により資金が不足してしまった

 

上記の「収入面の問題」と「支出面の問題」が重なった時に、資金不足が生じます。

これらの項目ひとつひとつを個別に見れば、どの事業者にも起こり得る事柄です。

売上がずっと順調に伸び続けている会社などありません。

時には、得意先が倒産することだってあります。

 

ただ、これらの幾つかが重なった時が「資金繰り悪化のサイン」です。

まずは、ご自分の会社の状況が、上記の幾つかに該当しないかどうかをチェックしてみてください。

 

資金繰りが悪化する原因③・④【政策面と意識面】

資金繰りが悪化する原因の3つ目・4つ目として、「政策面」と「意識面」が挙げられます。

先ほどの、収入面・支出面は分かりやすかったと思いますが、こちらの原因は字面だけでは分かりづらいですね。

まず、「政策面」とは、会社の資金政策 = 借入の政策のことを指します。

一方、「意識面」とは、事業者(経営者)及び従業員の「資金繰りに対する意識」のことを指しています。

以下、それぞれについて簡単に説明します。

 

借入の政策とは

事業者にとって、金融機関からの借入れは資金繰りに欠かせないものです。

一般的に、借入れがない経営(無借金経営)は優良事業者とされていますが、借入金が計上されている会社でも優良企業は沢山あります。

ですから、金融機関から借入れを行うことは決して悪いことではありませんし、寧ろ、いざという時のために銀行等とのパイプは作っておいた方が良いと思っています。

但し、同じ資金繰りのための借入れでも、次のような借入れは、逆に会社の危機を招きます。

 

【やってはいけない借入れ】

借入れを呼ぶ借入れ

 

事業資金が必要になれば金融機関からの借入れを考えますが、借入れをすれば必ず「返済」が伴います。

当たり前のことですが、これが解っている事業者は、現在の会社の状況はもちろん、今後の予測・展望なども十分検討して、返済できる範囲内での借入れを行います。

しかし、現在の会社の状況しか考えない事業者は、当面の資金繰りを乗り切るためだけに借入れをしてしまいます。

そうなると、借りたお金の返済をするためにまた借入れをするという、負のスパイラルに陥ってしまうのです。

これが、「借入れを呼ぶ借入れ」です。

そして、この「借入れを呼ぶ借入れ」が、さらなる資金繰りの悪化を招き、延いては倒産にまで繋がることになります。

 

借入れの返済は、会社の利益をもって行うのが原則です。

従って、借入れをする時には、返済できる範囲を見極め、本当に必要な借入に限定するという「会社の政策面」を固めてから行うことが必要となります。

 

資金繰りの意識とは

資金繰りが悪い会社は、総じて経営者をはじめ従業員も含めた会社全体の「資金繰りに対する意識」が低い傾向にあります。

また、よくあるケースとしては、経営者のみが資金繰りの重要性を分かっていて、従業員が全く意識していないケースが挙げられます。

これは、抽象的で概念的なことになってしまうのですが、実は、会社全体の資金繰りに対する意識というものは、会社資金のやり繰りを考えるうえでとても大切なのです。

 

例えば、ある営業マン(男性Aさん)がいたとします。

Aさんは優秀な営業マンで、次々に仕事を取ってきて会社の売上に貢献してくれます。

ただ、Aさんは自分の成績(売上)には熱心なものの、その代金の回収には非常に無頓着でした。

つまり、こういうことです。

 

契約さえ取ってくれば良いんでしょ?

 

会社にとっては、売上をあげて、きちんと代金まで回収してひとつの取引が終わります。

ですが、Aさんは「自分の営業成績」にしか興味がなく、いかに契約を取るかばかり考えているのです。

いくら営業成績をあげても、代金が回収されないことにはAさんの給料も払えないのに…

 

このように、代金を回収して初めて会社が潤うということに気が付いていない営業マンもいるのです。

少し大きな会社であれば、営業部門そのものが、代金の回収に無頓着というケースもあります。

通常は、契約をすればきちんと代金を支払ってくれますので、営業マンの気持ちも解りますが、ここが「意識の問題」です。

営業マン一人ひとりが、契約から代金の回収まできちんとケアできるような会社は、経営者はもちろん従業員も資金繰りの大切さを分かっている証拠です。

そして、このような会社は、資金繰りが悪化する確率がとても低く、仮に資金繰りが少々悪化しても、自力で改善することができます。

ビジネスシーンで、「意識改革」という言葉をよく耳にしますが、資金繰りに関しても、この「意識改革」がとても重要なのです。

 

最後に、意識面により資金繰りが悪化する要因を、いくつか挙げておきます。

 

【意識面による要因】

  1. 売上をあげれば、自動的にお金が増えると簡単に考えている
  2. 資金が足りなければ、借りればよいと安易に考えている
  3. 売り上げたお金を本業以外(例えば、投資など)に使ってしまう
  4. 資金繰りが苦しくても自腹を切るつもりは一切ない経営者
  5. 営業担当、製造担当、経理担当などが、自分たちの都合だけを考えている
  6. 売上には熱心だが、代金回収には無頓着な営業担当
  7. 無駄な備品などを在庫も確認せずに購入する総務(経理)担当
  8. 高価な材料ばかり使いたがる製造担当

 

以上が、資金繰りを悪化させる4つの原因についての解説となります。

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資金繰りを楽にする方法

資金繰りを楽にする方法として、最も一般的な考えは「売上をあげること」です。

確かに、売上をあげることは資金繰りを改善することに繋がりますが、これは「半分正解」で「半分外れ」です。

現在の社会経済は、信用経済で成り立っています。

そして、売上が多くても「黒字倒産」する会社があります。

ですから、単に「売上をあげる」のではなく、ちょっとだけプラスアルファを加えた売上をあげることが必要であり、それに以下のポイントを足せば、必ず資金繰りは楽になるでしょう。

 

【資金繰りを楽にするためのポイント】

  1. 資金の裏付けのある売上をあげる
    • 架空の売上は、会社の表面を取り繕うだけです。
    • お金の裏付けのない売上は、必ず会社を窮地に追い込みます。
  2. 売掛金は取引条件通りに回収する
    • 売掛金は、取引条件通りのサイト(期間)で回収します。
    • 売掛金の回収を延ばすことは、資金ショート(不足)に直結します。
  3. 債権(売掛金や手形など)の管理を徹底する
    • 貸倒れのリスクを極力回避するために、債権の管理はとても重要です。
  4. 無駄な(過剰な)在庫を持たない
    • 過剰在庫に利点は1つもありません。
  5. 買掛金の支払サイト(期間)を工夫する
    • これについては、後述します。
  6. 無駄な経費を使わない
  7. 借入金はゼロが望ましい
  8. 借入金があるときは、定期的な返済を守る
  9. 借入れをする際には、金利を極力減らす努力をする
  10. 無駄な(過剰な)設備投資をしない
    • 設備投資に関しては、慎重すぎるくらいがちょうど良いと思います。
  11. 会社全体で資金繰りに対する意識を持つ
    • 例えば、投資をする場合でも、その意識が会社全体に行き届いていることが必要です。

 

尚、この他「資金繰り表」を使う方法もありますが、資金繰り表については、別の記事で解説する予定のため、ここには入れていません。

 

上記をご覧いただければ判るとおり、資金繰りを楽にする方法は、資金繰りを悪化させる原因の逆になります。

  • 収入は減少しない(寧ろ、増える)
  • 支出は増加しない(寧ろ、減る)
  • 借入金がない(あっても、計画的)
  • 資金繰りに対する意識がある

 

上記に掲げた11項目はどれも重要なものですが、この中で、個別に取り上げて解説したいのが、4.の「無駄な(過剰な)在庫を持たない」と、5.の「買掛金の支払いサイトを工夫する」という項目です。

ただ、4.の過剰在庫については、既に別の記事で解説しています。

そのため、お手数ですが、過剰在庫を持たない方が良い理由については、下記の記事を参照してください。

過剰在庫が会社に与える悪影響とその改善方法

 

そこで、ここでは「買掛金の支払サイト」を取り上げて解説したいと思います。

 

買掛金を使った資金繰りのポイント

まずは、下の図をご覧ください。

この図は、商品を仕入れてから代金を支払うまでの「買掛金のサイト(期間)」と、商品を売上げてから代金を回収するまでの「売掛金のサイト(期間)」の例です。

買掛金支払サイト01

 

【買掛金のサイト】

  1. 4/30 … 商品仕入(100万円)
  2. 5/31 … 支払手形振出し(100万円)
  3. 6/30 … 手形決済(100万円)
    • 実際の現金の支出日は6/30

 

【売掛金のサイト】

  1. 5/31 … 商品売上(120万円)
  2. 6/30 … 受取手形回収(120万円)
  3. 7/31 … 手形決済(120万円)
    • 実際の現金の収入日は7/31

 

上記をご覧いただければ判るとおり、仕入代金(現金)の支出日である6/30から、売上代金(現金)の収入日である7/31までの1ヶ月間、資金がショート(不足)しています。

この資金ショートが、資金繰りの悪化をもたらす要因となります。

では、この資金ショートによる資金繰りの悪化を防ぐためにはどうれば良いかと言うと、次のポイントを押さえることが重要になります。

 

【資金ショートによる資金繰りの悪化を防ぐポイント】

いかに資金ショートの期間を短くするか

 

買掛金支払サイト02

 

そして、資金ショートの期間を短くするための鍵を握るのが「買掛金」なのです。

 

なぜ買掛金なのか?

前述した資金ショートの期間を短くする方法は、次のいずれかしかありません。

  1. 売上(売掛金)の回収サイトを変更する(早める)
  2. 仕入(買掛金)の支払サイトを変更する(遅らせる)

 

ネット上の記事などでも、「売掛金の回収サイトを早めれば、資金繰りが改善されます!」と述べているところも多いですが、現実的に考えて、売掛金の回収サイトを早めるのはほとんど無理でしょう。

なぜなら、一般的に売上は、「自社 < 売上先」となることが多いからです。

言わば、商品や製品、材料などを「買ってください」と自社からお願いするわけですから、その条件も「相手先有利」になるのが普通です。

従って、いくらこちらが売掛金の回収を早めたいと思っても、相手が「YES」と言わなければ変更することはできませんし、無理強いすれば「じゃあ他のところから買うよ」と言われて、取引自体がおじゃんになります。

 

対して、仕入の方はというと、売上とは逆の立場になるわけですから「自社 > 仕入先」の関係になります。

つまり、こちらが主導権を握ることができるので、買掛金の支払サイトを早めたり遅くしたりすることが比較的容易になります。

ですから、売掛金よりも買掛金を利用した方が、資金ショートの期間を短縮できる可能性が高いのです。

 

資金繰りは、会社の経営に大きく関わってきます。

今回お伝えした内容は、資金繰りの全てではありませんが、事業者や経営者にとって少しでもお役に立つものであれば幸いです。

以上で、資金繰りが苦しくなる原因と楽にする方法についての解説を終わります。

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