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贈与税の仕組みと計算方法について分かりやすく解説します

贈与するためにいそいそと走る女性 贈与税

この記事は3ページで構成されていますので、お好きな内容からご覧ください。

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  2. Page-2(このページです)
    • 贈与税の課税方式と税額の計算方法
    • 暦年課税
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贈与税の課税方式と税額の計算方法

それでは、贈与税の計算方法の解説に入ります。

贈与税には、次の2つの課税方式があります。

  1. 暦年課税
  2. 相続時精算課税

 

この2つの課税方式は、それぞれ税金の計算方法が異なります。

簡単に解説すると、次のようになります。

1.暦年課税(れきねんかぜい)

一般的に言われる、110万円の贈与のことです。

個人が1/1~12/31までの1年間で貰った財産から、贈与税の基礎控除である110万円を引いた金額に贈与税がかかります。

2.相続時精算課税(そうぞくじせいさんかぜい)

相続税精算課税の場合は、1/1~12/31までの1年間に譲り受けた財産から、2,500万円の特別控除ができます。

2,500万円の特別控除をした残額に、贈与税が掛かることになります。

 

チェック!

贈与税の申告(納付)期限

上の暦年課税と相続時精算課税の説明を見ても判るように、贈与税は1/1~12/31を基準にして計算します。

そのため、贈与税の申告期限(納付期限)は、このようになります。

贈与によって財産を取得した年の、翌年3月15日

 

所得税の確定申告の期限と同じになります。

 

それでは、1番の暦年課税から、その内容と税金の計算方法等を解説します。

 

暦年課税

一般的に贈与税と言えば、この暦年課税を指します。

暦年課税とは、暦年(1/1~12/31)を単位として、それぞれの年で贈与された金額に対して税金を課す制度のことを言います。

この暦年課税は、1年間あたり110万まで非課税とされています。(この110万円を「基礎控除」と言います)

巷で言われる「110万円までは贈与税が掛からない」というのは、まさにこの暦年課税のことです。

そのため、110万を超える贈与を受けた場合には、その超える部分に贈与税が掛かることになります。

暦年課税による贈与税は、下記のように計算します。

(贈与により貰った財産 - 110万円)× 税率 = 贈与税

 

尚、贈与税の税率は、贈与を受けた人によって変わります。

  1. 20歳以上の子供(又は、孫・ひ孫)が贈与を受けた場合(以下、「特定贈与」と言います)
  2. 上記以外の人が贈与を受けた場合(以下、「一般贈与」と言います)

 

特定贈与の場合の計算例

それでは、まず特定贈与の場合の贈与税の計算を、具体例を使って確認します。

特定贈与の税率は、下の表のようになります。

 

【1.特定贈与の贈与税の税率】

110万円控除後の金額 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円
  • 贈与を受けた子供(又は、孫・ひ孫)が20歳以上かどうかは、贈与を受けた年の1月1日現在において、20歳に達しているかどうかで判断します。

 

計算例1)特定贈与の場合

  • 贈与者 … 祖父
  • 受贈者 … 孫(22歳)
  • 贈与された財産 … 現金500万円

【贈与税の計算】

  1. 500万円 - 110万円 = 390万円
  2. 390万円 × 15% - 10万円 = 48万5千円
  3. 贈与税 = 48万5千円

 

チェック!

特定贈与における注意点

特定贈与に該当するのは、20歳以上の子供(又は、孫・ひ孫)が贈与を受けた場合であると解説しました。

この場合の贈与者(贈与をする人)は、直系尊属(ちょっけいそんぞく)に限られます。

直系尊属というのは、自分から見て父母や祖父母などといった上の世代のことであり、かつ直通している(直接の血縁関係がある)親族のことを指します。

ですから、例えば配偶者の父母(祖父母)や、叔父(叔母)といった人は直系尊属にはあたりません。

ただし、血縁関係がなくても、戸籍上で養子縁組をしていれば、自分の養父母といった人も直系尊属にあたります。

 

尚、直系尊属と対になるものとして、直系卑属(ちょっけいひぞく)という用語もあります。

直系卑属は、自分から見て子や孫、ひ孫といった下の世代で、かつ直通の血縁関係にある人を指します。

直系尊属と同様に、直通している血縁関係のことを意味するため、自分の甥や姪は直系卑属にあたりません。

尚、これも直系尊属と同様、戸籍上の養子縁組をしていれば、養子も直系卑属になります。

直系卑属は、後述する相続時精算課税で出てきます。

 

一般贈与の場合の計算例

続いて、一般贈与の場合の贈与税の計算を、具体例を使って確認します。

一般贈与の方が、特定贈与よりも少し割高になっています。

一般贈与の税率は、下の表のようになります。

 

【2.一般贈与の贈与税の税率】

110万円控除後の金額 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

 

計算例2)一般贈与の場合

  • 贈与者 … 祖父
  • 受贈者 … 孫(18歳)
  • 贈与された財産 … 現金500万円

【贈与税の計算】

  1. 500万円 - 110万円 = 390万円
  2. 390万円 × 20% - 25万円 = 53万円
  3. 贈与税 = 53万円

 

特定贈与と一般贈与の両方がある場合の計算例

特定贈与と一般贈与の両方がある場合には、次のように計算します。

  1. 全ての財産を特定贈与として計算した税額 × 特定贈与割合
  2. 全ての財産を一般贈与として計算した税額 × 一般贈与割合
  3. 1.+ 2. = 納付すべき贈与税額
  • 特定贈与割合 = 特定贈与財産の金額 / 全贈与財産の金額
  • 一般贈与割合 = 一般贈与財産の金額 / 全贈与財産の金額

 

計算例3)特定贈与と一般贈与の両方がある場合

  • 贈与者 … 父(特定贈与)
  • 贈与者 … 夫(一般贈与)
  • 受贈者 … 35歳女性
  • 父から贈与された財産 … 現金400万円
  • 夫から贈与された財産 … 現金100万円

【贈与税の計算】

  1. 特定贈与分
    500万円 - 110万円 = 390万円
    390万円 × 15% - 10万円 = 48万5千円
    48万5千円 × 400万円 /(400万円 + 100万円)= 38万8千円
  2. 一般贈与分
    500万円 - 110万円 = 390万円
    390万円 × 20% - 25万円 = 53万円
    53万円 × 100万円 /(400万円 + 100万円)= 10万6千円
  3. 贈与税
    38万8千円 + 10万6千円 = 49万4千円

 

暦年課税の判定方法

贈与税は、財産を貰った人が払う税金です。

贈与のパターンが1人対1人の場合は問題ありませんが、すぐ上の計算例3)のように、贈与者や受贈者が複数いる場合には、贈与税が掛かるのかどうか判断に迷う場合もあります。

そこで、いくつかのパターン別に、贈与税が掛かるのかどうかを判断してみたいと思います。

  • 各パターンの贈与は、全て同じ年に行われたものとします。
  • 贈与税が掛かるかどうかの判定のため、実際の贈与税の計算は行いません。

 

パターン1)

  • 贈与者 … 父(110万円)
  • 贈与者 … 母(110万円)
  • 受贈者 … 子供

この場合には、子供の受け取った財産の金額は220万円になります。

贈与税の基礎控除110万円を超えているため、贈与税が掛かります。

贈与税は、1人の個人がその年に貰った贈与財産の合計額で計算します。

 

パターン2)

  • 贈与者 … 父(220万円)
  • 受贈者 … 長男(110万円)
  • 受贈者 … 次男(110万円)

この場合には、長男・次男ともに受け取った財産の金額は110万円になります。

長男も次男も贈与税の基礎控除110万円以内のため、贈与税は掛かりません。

贈与税は、贈与した人の贈与金額は関係ありません。

あくまでも、財産を貰った人の方を基準に考えます。

 

パターン3)

  • 贈与者 … 父(330万円)
  • 受贈者 … 長男(110万円)
  • 受贈者 … 次男(110万円)
  • 受贈者 … 長男の嫁(110万円)

この場合には、受贈者3名ともに受け取った財産の金額は110万円になります。

3名とも贈与税の基礎控除110万円以内のため、贈与税は掛かりません。

贈与は、長男の嫁のように血縁関係がない人にも行うことができます。

そして、110万円の非課税枠も使うことができます。

因みに、長男の嫁が20歳以上であっても、直系尊属からの贈与ではないため、特定贈与には該当しません。

 

パターン4)

  • 贈与者 … 父(3月に20万円)
  • 贈与者 … 父(7月に50万円)
  • 贈与者 … 父(12月に40万円)
  • 受贈者 … 子(110万円)

この場合には、子供の受け取った財産の金額は110万円になります。

贈与税の基礎控除110万円以下のため、贈与税は掛かりません。

贈与税は、その年に貰った贈与財産の合計額が110万円かどうかが判断基準になります。

そのため、分割で贈与したとしても年間で110万円を超えなければ、贈与税は掛かりません。

 

パターン5)

  • 贈与者 … 父(880万円)
  • 受贈者 … 子供2名(各110万円)
  • 受贈者 … 子供の配偶者2名(各110万円)
  • 受贈者 … 孫4名(各110万円)

この場合には、受贈者8名の受け取った財産の金額は110万円になります。

贈与税の基礎控除110万円以下のため、贈与税は掛かりません。

贈与者である父は880万円贈与していますが、各受贈者には贈与税が掛かりません。

つまり、父親は税金を払わずに自分の財産を減らすことができます。

このことは、将来父親が亡くなったときの相続財産を減らすことにも繋がります。

 

暦年課税の注意点

ここまで述べてきたように、贈与税の暦年課税は上手に利用すれば、無税で贈与をすることができ、且つ贈与者の相続財産も減らすことができます。

しかし、この贈与税の暦年課税には、2つの注意点があります。

ここからは、その2つの注意点について解説します。

 

定期贈与に注意

定期贈与とは、毎年一定の時期に同程度の金額を贈与することを言います。

定期贈与に該当してしまうと、年度を分けて分割贈与しても、それらをまとめて1つの贈与とみなされる場合があります。

これは、暦年課税を利用するうえで、最も注意しないければならない点になります。

 

例えば、毎年100万円ずつ20年間贈与すれば、合計2,000万円の財産を無税で贈与することになります。

しかし、後になって税務調査が入った場合に、最初の年に2,000万円の贈与の契約をし、それを毎年分割して支払っているだけと認定される可能性があります。

そうなると、最初の年に遡って2,000万円全額に対する贈与税を支払わなければなりません。

これでは、節税どころの話ではなくなってしまいます。

 

定期贈与と認定されないためには、以下の対策を行う必要があります。

  • 贈与契約書を作成する
  • 贈与は口座振込にする
  • 毎年の贈与額を変える

但し、これらの対策をとったとしても、定期贈与と認定されてしまう場合もあります。

 

尚、上記の内容については、こちらの記事でまとめているので、参考にしてください。

贈与税に関する素朴な疑問

 

相続前3年以内の贈与に注意

実は、贈与をしてから3年以内に、贈与者が亡くなってしまった場合には、その贈与財産は亡くなった贈与者の相続財産に含まれてしまいます。

これを「生前贈与加算」と言います。

つまり、亡くなる前3年以内に行った贈与は無かったものとして、相続税の計算を行うことになります。

相続税の節税のために行った贈与であっても、贈与から3年は経過しないと節税の効果が表れないことになります。

具体的な例で説明します。

 

生前贈与加算の例) 1億円の財産を持っていたAさん

  • 平成30年10月21日 死亡
  • 死亡前3年以内に1,000万円を贈与
    1. 平成30年4月 300万円を子供に贈与
    2. 平成29年11月 110万円を子供に贈与
    3. 平成28年7月 340万円を子供に贈与
    4. 平成27年12月 250万円を子供に贈与
  • 死亡時の財産 9,000万円

Aさんの状況は、上記のようになります。

この場合のAさんが行った贈与については、下記のように取り扱います。

  • 死亡の日(平成30年10月21日)から3年以内の贈与は、無かったものとされる
  • 死亡の日(平成30年10月21日)から3年以内の贈与は、相続財産に加算する
  • 相続財産 9,000万円 + 1,000万円 = 1億円
  • 既に納付している贈与税は、相続税から控除する
  • 110万円以下の贈与であっても、生前贈与加算の対象になる

このように、生前贈与加算によって、3年以内の贈与の金額が加算されるため、Aさんの死亡時の相続財産は、1億円のままということになります。

尚、加算される贈与税の金額は、贈与時の価格(贈与時の時価)になります。

しかし、贈与税と相続税が2重に課税されることを防ぐため、納付済みの贈与税は、相続税から控除されます。

 

但し、この生前贈与加算は、死亡前3年以内に行われた全ての贈与が対象になるわけではありません。

次の贈与については、死亡前3年以内に行われた贈与であっても、生前贈与加算の対象にはなりません。

相続で財産を貰わない人

 

相続で財産を貰わない人に対する贈与は、死亡前3年以内の贈与であっても生前贈与加算の対象にはなりません。

 

この生前贈与加算の規定があるため、近い将来相続が発生することを見越して贈与を行うのではなく、早い時期から計画的に贈与を進めることが大切になります。

 

【相続税の基本や計算方法をまとめた記事】

相続税の仕組みと計算方法【財産評価から基礎控除、税率、特例、納税額まで】

 

暦年課税についてのまとめ

最後に、暦年課税についての内容と特徴などをまとめると、次の表のようになります。

 

【贈与税の暦年課税のまとめ】

特徴 内容
贈与者 誰でも
受贈者 誰でも
贈与財産 制限なし
課税期間 暦年(1/1~12/31)
基礎控除(非課税枠) 110万円
納税者 受贈者
申告 納税額がなければ不要
申告(納付)期限 3月15日
注意点 定期贈与、生前贈与加算
節税効果 少額だが確実

 

暦年課税の贈与は、定期贈与と生前贈与加算に注意して行えば、確実に節税を行うことができます。

一度に多額の贈与をすると贈与税が掛かりますが、早い段階からコツコツ贈与を進めれば、贈与税が掛からないうえ、節税もできるというメリットがあります。

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