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経営者に税金の知識は必要ですか?中小企業のマーケティングについて

風の向くまま気の向くまま 会社経営

こんにちは。税理士の高荷です。

さて、インターネットを徘徊しているとこんな記事をよく見かけます。

  • 経営者なら知っておきたい法人税の仕組み
  • 経営者が知らないと損をする法人税の計算方法
  • 経営者に必要な法人税の知識
  • 経営者には税金の知識が必要である…等々

 

ネット上では、ホントかウソか分からない色々な情報が飛び交っています。

本当に法人税含め税金の知識は、経営者に「必要なもの」であり、経営者が「知らないといけないもの」なのでしょうか?

いいえ、経営者が本当に知らないといけないものは他にあります。

次から詳しく説明します。(中小企業者が対象です)

 

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法人税は複雑で解りにくい

ネット上でこんな記事を目にしました。

或る経営者から相談されたそうです。

「会社の税金の事を経理や税理士だけに任せておくのはどうかと思って、法人税の計算方法を勉強しようと思ってるんやけど…どうにも複雑で、解りにくくて…」

 

この話が本当かどうかは知りませんが、法人税が「複雑で解りにくい」のは本当です。

そして、当たり前です。

税理士は、この「複雑で解りにくい」法人税を何年も勉強して、試験に合格した人たちです。(試験を受けていない方々も多くいらっしゃいますが…)

そんな簡単に理解できるほど、法人税は甘くありません。

税金の事を勉強しようという意欲は素晴らしいですが、もっと他にやるべきことが無いですか?

 

ちなみに、上の経営者からの相談に対しての答えは、

「法人税は一見難しそうですが、基本的なところを押さえればそんなに難しいものではありませんよ……」

 

このサイトの運営者は税理士ではありません。

こんな無責任な返答をする税理士はいない…と思います。

 

税金の仕組みを知らない経営者の多くは事業に失敗するのか?

ネット上でこんな記事も目にしました。

税金の仕組みを理解していない経営者の多くは、事業に失敗しています

 

だから税金の仕組みを理解しましょう、とそのサイトには書かれていました。

私が過去に担当した(又は直接担当していなくても話に聞いた)法人・個人のお客様で、税金に関する詳しい知識をお持ちだった経営者は、ほぼいません(100%と言っても良いくらいです)。

ですが、事業に失敗して会社を閉めたお客様は一人もおりません。

会社を閉めた(清算した)お客様もいらっしゃいましたが、それらは経営者の高齢化と後継者不在のために清算した会社だけです。

世の中には事業に失敗して会社を潰した方々もいらっしゃると思いますが、それらの原因の多くが税金の仕組みを知らなかったからと言えるでしょうか?

 

経営者が、税金の仕組みを理解しているに越したことはありません。

しかし、そのスキルは経営者にとって必須のものではありません。

もし、経営者が皆税金に詳しくなってしまったら、我々税理士の仕事がほぼ無くなってしまいます。
ですが、現実にはそんなことありません。

 

【会社経営において重要な金融機関からの融資に関する記事】

融資審査における粉飾決算の見抜き方【銀行が貸借対照表を見るポイント】

 

経営者は税金について最低限コレだけ知っていればOK

上記では、ちょっとだけ毒舌気味にお話ししましたが、やはり経営者の方にも「最低限コレだけは」知っておいて欲しいという税金の知識がありますので、それについて解説します。

経営者にとって必要な税金の知識は、以下の3点です。

 

【定期的に支払う税金の種類を把握する】

法人・個人を問わず、自分が払わないといけない税金の種類を憶えて下さい。

税金の中身は憶える必要ありません。税金の名前だけでいいです。

法人の場合であれば、法人税・地方税・消費税・源泉所得税・固定資産税・自動車税などがあります。

定期的に支払う主な税金はこの6つくらいですが、事業内容等によって変わりますので、ご自分の状況に合わせて憶えてもらったら良いかと思います。

 

【税金の納付(申告)期限を把握する】

税金の種類を把握した後は、それらを「いつまでに払わないといけないのか」を把握して下さい。

法人の場合であれば、法人税・地方税・消費税は決算日から2ヶ月以内に申告・納付しなければなりません。

個人の申告所得税は3/15、個人の消費税は3/31が期限になります。

特に忘れやすいのが、源泉所得税(半年納付の場合)と各税金の中間申告・納付(予定申告・納付)です。

税理士から「〇月〇日までに納付してください」との注意があると思いますが、ご自分でも管理されるのが望ましいです。

 

【大体の税金の金額を把握する】

これは、決算時(申告時)ではなく期中での予測になります。

例えば「半年経過時の利益が××万円なので、年間の利益は△△万円くらい。ということは、法人税と地方税が○○万円くらいで、消費税は□□万円くらいになるな」とざっくりでいいので、決算時の納税額を予測してください。

繰り返し言いますが、ざっくりでいいです。

予測の仕方ですが、法人税・地方税であれば年間の予想利益に30%(現在の実効税率が約30%なので)を掛けて下さい。

消費税は「仮受消費税」と「仮払消費税」の差額を1年分に換算して下さい。

納税額の予測をすることは、資金繰りの面からも有用です。

 

 

経営者が税金について知っておくべき最低限の事は、以上の3点になります。

これ以上知りたいという経営者の方が、ご自分で勉強されるのを止めはしませんがオススメもしません。

不明な点や疑問があれば、税理士を利用してください。

そのために税理士が存在します。

 

尚、弊所では、顧問契約をしていただいたお客様につきましては、こういった相談や質問などで手数料をいただくことはございません。

 

【会社経営にとって重要な資金繰りに関する記事】

資金繰りの意味と役割、会社の資金繰りが悪化する原因

黒字倒産の仕組みと原因【粉飾決算の手法と信用経済・発生主義の関係】

 

経営者が本当に知っておくべき事

ここまでは「経営者が税金に関して詳しく知る必要はない」という観点でお話ししました。

では、本当に経営者が知っておくべき事はなんでしょうか?

経営者の本質は、会社(事業)を経営することにあります。

会社(事業)を経営するために必要なものは、当たり前の事ですが『経営の知識』です。

一口に『経営の知識』と言っても幅が広く、膨大なものになります。

税金の知識も『経営の知識』の一つに含まれるかもしれませんが、必須とは言えません。

ネット上では「中小企業の経営に必要なこと」を記事にしたサイトも多く見受けられますが、ここでは、私が考える中小企業の経営に最低限必要な知識についてお話しします。

 

中小企業の経営に必要なのはマーケティング能力

『マーケティング』と聞いて、皆さんはどんなことをイメージするでしょうか?

「よく聞く言葉だけど、意味はワカラン」という方々がほとんどではないでしょうか。

先に述べた『経営の知識』と同様に、この『マーケティング』という言葉の意味も、捉え方によっては広大で深淵なものになります。

ですが、それを言い出したら話が進みませんので、このように捉えて下さい。

マーケティング = モノ(サービス)が売れる仕組み

 

ですから、『マーケティング能力』とは『モノ(サービス)が売れる仕組みを考えて、実践する能力』を意味します。

そこにはリサーチ(調査)であったり、プロモーション(宣伝)であったり、フィナンシャル(財務)であったり、アナライズ(分析)であったり、マーケティングの手法には様々なものがあります。

時代の流れ(流行)、顧客(市場)の動向、競合他社の動向、取引先との関係、自社の資金力、金融機関との関係、宣伝の効果などなど、マーケティングのために経営者が考えるべきこともたくさんあります。

文章で説明しても分かりづらいと思いますので、ここでは「ある中小企業のマーケティング成功例」をもとに説明します。

 

中小企業のマーケティングの成功例

あるところに、洋菓子店の2代目社長がおりました。

初代である先代社長から引き継ぎ、十数年会社を経営してきました。
大きな洋菓子店では無かったものの、黒字と赤字を繰り返しながらなんとか商売を続けていました。

ところが、昨今の不景気のためかここ数年赤字続きで、経営が苦しくなってきました。銀行から借り入れもし、設備も新しいモノに変えたりしましたが、それほど効果がありませんでした。

先代から受け継いだ商売方法をそのまま続けていた2代目は、何とか経営を立て直したいと悩みました。

悩む洋菓子店主

 

そんな折、遠方にある知り合いの洋菓子店と話す機会があり、悩みを打ち明けてみました。

知り合いの洋菓子店の社長は言いました、
「俺のとこは、洋菓子に和菓子の要素を取り入れてるんだ。」
「まぁ、今風に言うと洋菓子と和菓子のコラボかな。」

洋菓子と和菓子のコラボ…
思わぬ所からヒントを貰った2代目は、何とかこれを生かせないかと考えました。

ひらめく洋菓子店主

 

消費者の動向、業界の動向そして和菓子業界の情報など、色々な情報を集めて分析した結果2代目が出した答えは…『一升餅』

※一升餅とは、赤ちゃんの満一歳の誕生日を祝うために、赤ちゃんに背負わせたり、踏ませたりする記念のお餅のことです。もちろん和菓子(お餅)ですから食べられます。

一升餅

 

世の親御さん(祖父母も)のサガでしょうか。特にお子さんが小さければ小さいほど記念品やお祝い事にお金を使うことを惜しみません。

さらに、「洋菓子店が作る和菓子(一升餅)」であることをアピールできれば…
さらにさらに、インターネットを使えば広告も販売もいっぺんにできる。

そう考えた2代目は、早速試作品の作成に取り掛かるとともに、インターネットを使っての販売(広告)のシステム等についても、専門家と相談し始めました。

相談する洋菓子店主

 

その結果、当初の予測を大きく上回る反響がありインターネットを通じて全国各地からの注文が入りました。

今では、売り上げの7割以上をインターネット販売が占めるようになり、会社(店舗)の経営そのものを変える必要があると考え、2代目はさらなるマーケティングを探っているのでした…とさ。

語る洋菓子店主

 

この話は、多少省略・脚色している部分もありますが、ベースは実話です。

社長ご自身は「マーケティング」というものを意識していなかったようですが、この方法はまさに「マーケティング」と言えるでしょう。

それまでは赤字続きだったこともあって、さほど税金等に関する相談は無かったのですが、インターネット販売が軌道に乗ってからは、ちょくちょく電話やメールで相談が来るようになりました。

本格的な「WEBマーケティング」とまではいきませんが、中小企業がITを使ってマーケティングを成功させた良い例だと思います。

このように「マーケティング」という考え方を学んでいなくても、自然とマーケティングに近い事を行っていることもあります。

つまり経営者の基本的な仕事は、

それ自体が「マーケティング」と言えます。

 

経営者の仕事は「利益を出すこと」であり「売上を伸ばすこと」です。

イコール「マーケティング」です。

経営者の基本的な仕事を怠らなければ、会社経営はきっと良い方向に向かうと思います。

私も税理士としてその手助けができれば、税理士冥利に尽きます。

 

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