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ヤフオクでも利用できます!税金滞納による差し押さえ財産の公売について

オークション 税務署

こんにちは。税理士の髙荷です。

以前、「本当に恐ろしい!税金の滞納から差し押さえまでを完全解説」という記事で、税金滞納による財産の差し押さえまでを解説しました。

その中で、「差し押さえが行われた後でも、滞納した税金が完納されない場合には、インターネットや入札を利用した公売が実施されます。」と述べました。

「公売(こうばい)」とは、「差し押さえた品物などを、公告して、競り売り・入札などの方法で売ること」を言います。

 

「公売」と聞くと、何となくお堅いイメージがあるかと思いますが、実際には「誰でも参加可能なオークション」であり、品物によってはお得に購入できるケースもあります。

 

今回は、この「公売」について、基本的な内容から公売の種類、それぞれの手続の流れ及び公売に参加する際の注意点などを解説したいと思います。

民間のネットオークションなどに比べると知名度が低いため、ひょっとしたら掘り出し物や逸品が見つかるかもしれません。

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公売の基礎知識

それでは、まず公売についての基本的な内容から説明します。

前述しましたが、ここで取り上げる公売とは、国税局又は税務署が差し押さえた財産を、入札又は競り売りの方法によって売却することをいいます。

公売によって得た売却代金を、滞納されている国税に充てる目的で実施されます。(今回は国が実施する公売について解説しますが、地方自治体が行う公売も存在します)

また、公売は、公売にかける財産について品質・機能の保証等がないため、一般的な市場価格よりも低い価格で購入できることが特徴です。

 

尚、公売と似た言葉で「競売(けいばい・きょうばい)」という言葉がありますが、国や地方自治体が行う公的な競売が公売(公競売とも言う)だと捉えてください。

 

公売の方法は、基本的に「入札(にゅうさつ)」又は「競り売り」のいずれかで行われます。

 

【入札とは】

入札とは、入札者(買い手)が「入札書(申込書のようなもの)」に購入希望金額を記載して入札(購入の申込み)し、開札(入札の締切、購入者が決定)の結果、最も高い価額で入札した人が落札(購入する権利の獲得、購入者を「落札者」という)する方法です。

入札書の提出は1回限りで、訂正や差し替えはできないことになっています。

 

官庁や企業が工事の請負をさせるときなどは、この入札が原則とされます。

よくニュースなどで取り上げられる「不正入札」は、公共工事などの入札に際して、事前に各企業が話し合い(談合)をして、誰が入札するかを決めておくことを言い、立派な犯罪行為に該当します。

 

一方、競り売りとは、次の方法による公売を言います。

 

【競り売りとは】

競り売りとは、購入希望者同士で順次価格を競り上げていって、最終的に最も高い金額で申し込んだ人が落札する方法です。

一般的に「オークション」と呼ばれる方法のことで、イメージがし易いと思います。

 

美術品のオークションや卸売市場でのセリと呼ばれるものが該当します。

また、競走馬のセリも、この「競り売り」の1つです。

 

尚、上記の他、直前の公売における見積価格以上の価格で、一定の期間内に差し押さえ財産を随意契約により売却する旨を広告し、最初に買受申し込みをした人に売却する「広告随意契約」という方法もありますが、ここでは紹介だけに止めます。

 

公売の手続の流れ

続いては、公売の手続の流れについて解説します。

前述したとおり、一般的な公売は「入札」か「競り売り」で行われます。

国が実施する公売は、全国の国税局や税務署の公売会場で行う公売や、インターネット公売、郵送でも入札を受け付ける期間入札などがあります。

最初に、全国の公売会場で行われることの多い「期日入札」と「期間入札」について、その公売の流れを解説します。

 

期日入札

期日入札とは、公売日の定められた時間内(1日間)に、公売会場で直接入札書を提出し、同じ日に開札を行う入札方法です。

尚、入札の場合には、入札書の提出状況や入札金額の内容等を、開札前に公開することはありません。

但し、公売される財産が不動産や自動車の場合は、開札後から売却決定が行われるまでの間、落札した人の氏名と落札額を、公売を行った国税局又は税務署の掲示板などに公告します。

期日入札による公売の流れは、次のようになっています。

 

【期日入札による公売の流れ】

手順 内容
公売公告(公売の日の10日前まで)

  1. 国税局や税務署の掲示板、国税庁のサイトに公売情報が掲載されます。
  2. 公売条件等(日時、方法、財産情報の詳細、その他留意事項等)を確認します。
見積価額公告(公売の日の3日前まで)

  1. 国税局や税務署の掲示板、国税庁のサイトに掲載されます。
  2. 公売公告と一緒に公告される場合もあります。
  3. 公売の日までに、必要書類や公売保証金を準備します。
    1. 公売財産の入札者が、売買契約の締結及び代金納付の履行のための保証として提供する一定の金額のことを「公売保証金」と言います。
公売の日(1日間)

  1. 必要書類の提出
  2. 公売保証金の提供
    1. 公売の内容によっては、公売保証金が不要の場合もあります。
    2. 公売保証金の提供が定められている公売では、公売保証金を提供しなければ入札に参加できません。
    3. 落札者以外の入札者が提供した公売保証金は、公売終了後に返還されます。
  3. 入札
    1. 公告された見積価額より低い金額では落札できません。
  4. 開札
  5. 落札
    1. 入札金額が最も高かった人が、最高価申込者(落札者)として決定されます。
    2. 落札できなかった人には、公売保証金が返還されます。
    3. 次順位買受申込者(2番目に高価で入札した人)が決定されます。
売却決定・代金納付期限(公売の日から1週間)

  1. 落札者は、売却決定の日までに購入代金の全額を支払う必要があります。
  2. 公売保証金は、購入代金に充当することができます。
  3. 期限までに購入代金が支払われない場合は、落札が取り消され、公売保証金も返還されません。
  4. 落札者が何らかの理由により購入代金を支払わなかった場合には、次順位買受申込者にその権利が与えられます。
権利移転(売却決定から2~3週間)

  1. 登記が必要な財産についての所有権移転登記は、国税局・税務署が行います。
  2. 登記が必要な財産についての必要書類や費用は、落札者が用意します。

 

期間入札

次に、期間入札による公売の流れを解説します。

期間入札は、入札書の提出を行うことができる期間(入札期間、公売の期間)が、連続した2日以上の期間である入札方法です。

期間入札における入札書は、定められた期間内に、直接又は郵送等で提出し、別に定められた日に開札を行います。

期間入札による公売の流れは、次のとおりです。

 

【期間入札による公売の流れ】

手順 内容
公売公告(入札期間初日の概ね1ヶ月前)

  1. 国税局や税務署の掲示板、国税庁のサイトに公売情報が掲載されます。
  2. 公売条件等(日時、方法、財産情報の詳細、その他留意事項等)を確認します。
見積価額公告(入札期間初日の3日前まで)

  1. 国税局や税務署の掲示板、国税庁のサイトに掲載されます。
  2. 公売公告と一緒に公告される場合もあります。
  3. 公売の日までに、必要書類や公売保証金を準備します。
    1. 公売財産の入札者が、売買契約の締結及び代金納付の履行のための保証として提供する一定の金額のことを「公売保証金」と言います。
入札期間(2日間以上)

  1. 必要書類の提出
  2. 公売保証金の提供
    1. 公売の内容によっては、公売保証金が不要の場合もあります。
    2. 公売保証金の提供が定められている公売では、公売保証金を提供しなければ入札に参加できません。
    3. 落札者以外の入札者が提供した公売保証金は、公売終了後に返還されます。
  3. 入札
    1. 公告された見積価額より低い金額では落札できません。
開札の日(入札期間終了から1週間以内)

  1. 開札
  2. 落札
    1. 入札金額が最も高かった人が、最高価申込者(落札者)として決定されます。
    2. 落札できなかった人には、公売保証金が返還されます。
    3. 次順位買受申込者(2番目に高価で入札した人)が決定されます。
売却決定・代金納付期限(開札の日から1週間)

  1. 落札者は、売却決定の日までに購入代金の全額を支払う必要があります。
  2. 公売保証金は、購入代金に充当することができます。
  3. 期限までに購入代金が支払われない場合は、落札が取り消され、公売保証金も返還されません。
  4. 落札者が何らかの理由により購入代金を支払わなかった場合には、次順位買受申込者にその権利が与えられます。
権利移転(売却決定から2~3週間)

  1. 登記が必要な財産についての所有権移転登記は、国税局・税務署が行います。
  2. 登記が必要な財産についての必要書類や費用は、落札者が用意します。

 

期日入札と期間入札は、入札期間(公売の期間)と開札の日が異なるだけで、基本的な流れは同じになります。

 

インターネット公売

期日入札と期間入札の「入札」による公売の手続の流れを解説したので、続いては「競り売り」による公売の流れを解説します。

インターネット公売は、インターネットの民間オークションサイト(ヤフー㈱の「官公庁オークション」)において、競り売りの方法により行われる公売です。

あらかじめ公売参加申込みのあった人を対象に、連続した2日以上の期間において公売を受け付けます。

 

また、インターネット公売では、インターネットを利用して下記の手続を行うことができます。

  1. 公売保証金の提供手続
  2. 公売参加申込手続
  3. 買受申込手続

インターネット公売の流れは、次のようになります。

 

【インターネット公売の流れ】

手順 内容
公売公告・見積価額公告(公売参加申込期間初日の概ね1週間前)

  1. 国税局や税務署の掲示板、国税庁のサイトに公売情報が掲載されます。
  2. 公売条件等(日時、方法、財産情報の詳細、その他留意事項等)を確認します。
公売参加申込期間(1週間程度)

  1. 公売参加申込期間開始時、オークションサイトに財産情報の詳細が掲載されます。
  2. 公売参加申込期間内に、購入を希望する財産ごとに公売参加申込を行います。
    1. 申し込みをしていない公売には、参加できません。
  3. 必要書類や公売保証金を準備します。
    1. 公売財産の入札者が、売買契約の締結及び代金納付の履行のための保証として提供する一定の金額のことを「公売保証金」と言います。
公売保証金の提供・本人確認書類等の提出

  1. ②の公売参加申込期間から、④の買受申込期間までの概ね10日以内に行います。
  2. 公売の内容によっては、公売保証金が不要の場合もあります。
  3. 公売保証金の提供が定められている公売では、公売保証金を提供しなければ入札に参加できません。
  4. 落札者以外の入札者が提供した公売保証金は、公売終了後に返還されます。
買受申込期間(公売期間、2日間以上)

  1. 買受申込期間内に、購入したい物品の買受申し込みを行います。
  2. インターネット公売は競り売りのため、買受申込時点における買受申込価格以上の金額であれば、何度でも買受申し込みをすることができます。
最高価申込者(落札者)の決定等

  1. 買受申し込みの結果が、メールにて送信されてきます。
  2. メールの内容に従って必要な手続きを行います。
  3. 落札できなかった人には、公売保証金が返還されます。
売却決定・代金納付期限(落札した物品により異なる)

  1. 落札者は、代金納付期限までに購入代金の全額を支払う必要があります。
  2. 公売保証金は、購入代金に充当することができます。
  3. 期限までに購入代金が支払われない場合は、落札が取り消され、公売保証金も返還されません。
  4. 落札者が何らかの理由により購入代金を支払わなかった場合には、次順位買受申込者にその権利が与えられます。
権利移転(売却決定から2~3週間)

  1. 登記が必要な財産についての所有権移転登記は、国税局・税務署が行います。
  2. 登記が必要な財産についての必要書類や費用は、落札者が用意します。

 

以上で、公売の手続の流れについての解説を終わります。

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公売に参加する際の注意点

最後に、公売に参加するに当たっての注意点を、いくつかピックアップして解説します。

 

公売の参加資格

公売には、原則として、全ての人が参加できますが、次に掲げる人は参加することができません。

  1. 公売財産を所有する滞納者
  2. 国税庁、国税局、税務署の職員
  3. 公売の参加制限を受けた人

 

また、農地等の特殊な公売財産については、別途資格が必要となる場合があります。

尚、インターネット公売の参加条件として、次の事項が掲載されています。

 

【インターネット公売(Yahoo!官公庁オークション)の参加条件】

  1. 20歳以上で日本語を完全に理解し、実施する行政機関のガイドラインなどを厳守できる人
  2. 保証金の提供が必要な物件への申し込みの場合は、事前に保証金を提供した人
  3. Yahoo!JAPANのIDを登録し、連絡用のメールアドレスを所有する人

 

詳しくは、最後に掲載している公売に関する各サイトを参照してください。

 

公売の購入代金の分割払い

公売の購入代金(買受代金)の分割納付はできません。

前掲した、各公売の手続の流れにも掲載したように、落札者は購入代金を「代金納付期限」までに全額支払う必要がありますが、その支払は「一括払い」に限られます。

上記の要件を満たした支払いができなければ、売却決定(落札者としての購入権利)は取り消され、入札又は競り売りにあたって提供した「公売保証金」も没収されます。

 

尚、購入代金の支払い方法は、「現金」又は「小切手(金融機関が振り出したもの)」による支払いになりますが、振込みで支払ができる場合もあります。

 

貴金属や宝石類を落札した場合の受取り

公売会場において、貴金属や宝石類の高価な物品を落札した場合であっても、その受け渡しは原則として「本人の持ち帰り」になります。

但し、期間入札やインターネット公売の場合は、落札者が指定した運送業者を通じて受け取ることもできます。(勿論、直接受け取りに行くこともできます)

 

公売が中止される場合

公売は、税金滞納者の差し押さえ財産を国が売却し、その代金を国税に充てる制度です。

従って、売却(購入代金の支払い)前までに、税金滞納者が国税を完納した場合等には、公売は中止されます。

 

この場合の「公売の中止」とは、公売という行為自体が無かったものとされます。

つまり、公売によって落札が決まった物品であっても、購入代金の支払い前に「公売が中止」される事由が生じた場合には、その落札した物品を購入することはできないのです。

 

公売のメリットとデメリット

公売は、以下の理由により、通常の市場価格よりもお得に物品を購入できる可能性があります。

  1. 国は、公売にかける物品について品質・機能等の保証をしない
  2. 国は、公売財産を「現況有姿」のまま売却するため、物品にキズがあっても瑕疵担保責任を負わない
  3. 民間のオークション等に比べて、参加者が少ない

 

但し、これらのメリットは、次のデメリットにも繋がります。

  1. 元々が差し押さえ品なので、民間のオークション等に比べると、圧倒的に品数が少ない
  2. 不動産(土地・建物)の公売が多いので、現地を下見する必要がある

 

【差し押さえ品以外の公売】

今回の内容は、税金滞納に係る差し押さえ品の公売についての解説ですが、実は公売にはもうひとつ「公有財産の公売」が存在します。

この「公有財産の公売」は、各行政機関が所有している財産を売却するもので、差し押さえ品に比べると品数も多く、何より珍しいものが出品されることで有名です。

公有地や救急車・消防車、比較的新しい家電やOA機器なども出品されています。

さらに、誰が買うの?という珍品もあるので、是非一度覗いてみてください。

 

以上で、税金滞納に係る差し押さえ財産の公売についての解説を終わります。

 

参考資料として、公売に関係する国税庁とYahoo!JAPANのサイトを掲載します。

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