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不動産投資が節税にならない2つの大きな理由について解説します

蓮の花申告所得税

こんにちは。税理士の高荷です。

前回の記事では、個人が駐車場経営をする場合のメリットとデメリットについてお話ししました。

内容的にはデメリットの方が多いという結論でしたが、これはあくまでも税金上の話です。

不動産投資そのものにデメリットが多いわけではありません。

 

昨今、ちょっとしたブームになっている不動産投資は「儲かる投資(儲かる可能性の高い投資と言った方が良いでしょうか)」ですので、他のメリットと税制面でのデメリット等をよく検討し、専門家とご相談の上で行っていただければと思います。

 

尚、前回の記事はこちらです。

個人が駐車場を経営する場合の税制上のデメリット【所得税の節税上のデメリット】

今回の記事は、前回の記事の内容を前提にして解説している部分が多いため、今回の記事を読む前に前回の記事を読んで貰えれば、より理解が深まると思います。

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書き忘れた不動産所得のメリット

前回の記事の冒頭で、このような質問を書きました。

もし、自由に使える土地があったらどうしますか?
あなたなら、どうしますか?

 

もし、私ならこうします。

アパートマンション経営一択

 

 

理由は、そのまんまです。

アパートマンション経営は儲かりそう

 

 

過去税理士として、数多くの不動産事業を行っている方々(法人・個人問わず)の帳簿や申告を見てきましたが、皆さん総じてこんな感じです。

アパートマンション経営で儲けている男性

 

 

不動産が欲しいサラリーマン税理士

いいなぁ、俺も不動産ほしいなぁ…

なんて、思いながら申告書を作っていました。

ですから、やはりアパマン経営には憧れます。

私は不動産投資(活用)の専門家でも何でもないので、実際のところは分かりません。

必ずしも儲かるとは限らないでしょう。

しかし、日本という狭い国家にあっては「不動産を持っている(できれば都市部に)」ということは、それだけでお金持ちになれる(可能性が高い)ということですから、やっぱり羨ましいですね。(それとも、元々お金持ちだから不動産を持っているのか?こちらの方が正解でしょうか)

 

さて、前回の記事では、駐車場経営についての税金上のメリット・デメリットを取り上げましたが、1つ書き忘れていたメリットがありました。

これは、実際に税金が減るわけではないので税金上のメリットとは言えませんが、駐車場経営を含め不動産賃貸経営全般に当てはまるメリットです。

 

【不動産賃貸経営のメリット】

不動産の賃貸経営は、毎年の収入・費用がほぼ固定されているため、年間利益の予測が立てやすい

 

具体的にどういったメリットになるかというと「資金繰り上のメリット」になります。

不動産賃貸経営は、基本的に年間の売上高(家賃収入)とそれに掛かる経費が年ごとに大きく変動することがありません。

そのため、年間の予想利益が計算しやすい仕組みになっています。

さらに、予想した利益と実際の利益にそれほど大きな差が出ないのも特徴です。

これは、売上高(家賃収入)がほぼ正確に予測できるという点が大きな役割を果たしています。

他の業種であれば、売上高の予測を立てるのが一番難しいのですから。

 

年間の利益がほぼ正しく予測できるということは、それに掛かる税金(所得税や場合によっては消費税など)も、ほぼ正確に予測計算できることになります。

その結果、手元にいくらお金が残るか(資金繰り)も予測することができるのです。

 

年間の利益・税金そして資金繰りまでもが正確に予測できることは、経営をする上で非常に大事なことであり、また有利な事でもあります。

特に資金繰りは、来年以降への設備投資や他の物件への投資などを予定する際に役に立ちます。

また、個人経営ですから、そのお金を自分や家族の生活等のために使ってもいいでしょう。

このように不動産経営には、経営に役立つメリットもあるのです。

不動産賃貸経営には、年間の利益・税金及び資金繰りの予測を立てやすいというメリットがある
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不動産の賃貸経営と節税との関係

最近は、このような謳い文句を掲げているサイトが、数多く存在します。

サラリーマンが不動産投資(マンション経営)をすれば節税になります

 

結論から言います。

不動産投資をしても節税にはなりません。

 

なぜなら、これらのサイトが説明している節税の方法は、以下の内容だからです。

サラリーマンの給与所得と不動産所得の損失を通算(相殺)する方法

 

これは、所得税法上の損益通算制度を利用した方法ですが、この方法では節税にはなりません。

次の章から、この方法が節税にならない理由を説明します。

 

節税にはならない理由

では、サラリーマンが不動産投資をしても節税にはならない理由を説明します。

まず、前提としまして上で挙げた節税方法を採用するための条件等を確認しておきます。

  1. サラリーマンである
  2. 個人で不動産の賃貸経営を行っている
  3. 節税の対象となるのは所得税である
  4. 不動産所得で申告する
  5. 青色申告者である

 

コラム

アパート・マンション賃貸経営の事業的規模

前回の記事では、駐車場経営を行っている場合の事業的規模か否かの判定について書きました。

では、アパマン賃貸経営を行っている場合の事業的規模か否かの判定はどうなるのでしょうか?

まず事業的規模かどうかを判断する基本的な基準は、駐車場経営の場合と同じです。

すなわち、家賃収入の状況やアパート・マンションの管理状況など諸般の事情を勘案して判断することになります。

 

もし、上の基準で判断できなかった場合には、下記の形式基準を用いることになります。

  • 戸建ての場合は、概ね5棟以上
  • アパート・マンションの場合は、概ね10室以上
  • 複合する場合は下記の組み合わせによる
    アパマン10室9室8室7室6室5室4室3室2室1室0室
    戸建て0棟1棟1棟2棟2棟3棟3棟4棟4棟5棟5棟

    マンション6室と戸建て2棟 ⇒ OK
    マンション3室と戸建て4棟 ⇒ OK
    マンション4室と戸建て1棟 ⇒ NG

 

今回の記事の内容とは直接関係ありませんが、参考までに。

 

損失を出すのであれば不動産投資などしない方が良い

先ほど挙げた節税の方法を、再度掲載します。

サラリーマンの給与所得と不動産所得の損失を通算(相殺)する方法

 

この節税方法を行うには、不動産所得で損失を出さなければなりません。

  • 損失を出すということは、利益がマイナスになる(赤字になる)ということです。
  • 利益がマイナスになる(赤字になる)ということは、儲かっていないということです
  • 儲かっていないということは、投資としての価値が無いということです。

正直言って、このような状態であれば、不動産投資をする価値はないでしょう。

 

また、敢えて不動産所得で損失を出すという方法も考えられます。

しかし、前回の記事で、不動産所得は計上できる経費が限定されているため、利益を圧縮する(利益を減らす)のが難しいと述べました。

それは、アパート・マンション賃貸経営の場合でも同様です。

前回解説した駐車場経営よりも、多少は経費を多く計上できますが、本質的には変わりません。

よほど空き室が多い等の特別な理由がない限り、利益が出る仕組みになっているのが不動産賃貸経営の特徴です。

 

そのため、不動産賃貸経営においては、敢えて損失を出す行為は、次の結果を招くことになります。

  1. 無理な利益の圧縮は、節税ではなく脱税行為になる
  2. 無理な利益の圧縮は、資金の減少を伴い手元にお金が残らなくなる

こうなってしまったら、もはや節税どころではなくなってしまいます。

 

駐車場経営と同様に、不動産所得で自然と損失が計上されるのは『初期投資が多い初年度』くらいでしょう。

不動産賃貸経営で、無理に利益を減らす行為は、脱税と資金繰りの悪化をもたらす

 

減価償却が節税の決め手?

前の章で、不動産賃貸経営において無理に利益を減らすのは逆効果であると述べました。

そこで資金を減らさずに無理なく利益を減らす方法として、不動産投資の節税を目玉にしているサイトでは、次の方法も節税になると謳っています。

減価償却を行う

 

これについても、はっきりと言っておきます。

減価償却は、節税の方法ではありません

 

減価償却は、通常の会計処理の方法です。

なぜなら、所得税法では、このように規定されているからです。

所得税では、必ず減価償却をしなければならない

 

つまり、減価償却の対象となる資産(建物や事業用の車など)を持っている場合には、不動産所得を計算する際に、必ず減価償却をしなければならないと所得税法で決められているのです。

 

もし、減価償却をしてもしなくても良いのであれば、減価償却は節税方法として有効かもしれません。

しかし、所得税では減価償却をしていないことは、あり得ないのです。

 

従って、減価償却を節税方法として挙げること自体が的外れだと言えます。

減価償却は、節税の方法ではない。

 

 

チェック!

減価償却とは

固定資産を購入した場合に、その購入代金を購入時に一括で費用計上するのではなく、一旦資産として計上し、その資産の使用期間に合わせて徐々に費用計上する手続きです。

代表的な減価償却の対象となる固定資産は建物ですが、建物は一般的に高額で何年にも渡って使用するものです。

ですから、建物を購入した時に購入代金を一度に費用計上してしまうと、建物の使用状況と費用の計上時期がズレることになります。

そのズレを解消するため、建物の使用期間に合わせて費用(減価償却費)を配分することで、実際の使用状況と費用(減価償却費)の計上時期を対応させようという考え方が減価償却です。

 

尚、減価償却の仕組みと計算方法は、こちらの記事でまとめています。

自動車に係る減価償却費を定額法と定率法で計算する方法【基礎から償却方法まで】

 

以上で、今回の解説を終わります。

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