スポンサーリンク
スポンサーリンク

定款を作成して公証人役場で認証を受けましょう【株式会社の設立手順②】

図書館で定款の資料を探す青年 会社設立

こんにちは。税理士の高荷です。

今回は、起業が初めての人に向けての株式会社の設立方法として、定款(ていかん)の作成・認証を解説します。

初めて株式会社を設立する人でもスムーズに定款に関する作業が行えるように、基本的な事項から手続きの手順までを具体的に解説します。

 

この記事を通じて、一人でも多くの起業を目指している人の力になれればと思います。

尚、株式会社を設立する前提で、解説します。

 

スポンサーリンク
スポンサーリンク

株式会社設立の流れ

最初に、株式会社を設立する場合の流れを確認しておきます。

初めて会社を設立する時には、色々戸惑うことも多いと思いますが、焦らずに丁寧にこなしていけば大丈夫です。

 

株式会社設立の流れは、次の6つの手順に従うことになります。

 

【会社設立の流れ】

≪STEP①≫

会社の基本事項の決定

≪STEP②≫

定款(ていかん)の作成・認証

≪STEP③≫

資本金の払い込み

≪STEP④≫

設立登記書類の作成

≪STEP⑤≫

設立登記の申請

≪STEP⑥≫

関係各所への届出書等の提出

 

ステップは6種類ありますが、それぞれは誰にでもできる内容の手続きになっています。

 

今回の記事は、この6つのステップの2番目のステップ、定款の作成と認証についての解説になります。

 

定款とは

そもそも定款とはどのような書類で、なぜ作成しなければならないのか分からない人もいるかと思うので、まずは定款の定義から解説します。

定款とは、次の意味を持つ書類になります。

定款は会社の憲法とも言うべきもので、会社の基本的な規則を書いた書類です

 

具体的には、会社の目的や組織、活動、構成員、業務執行などについての基本的なルールを定めた書類になります。

また、なぜ定款を作成しなければならないかと言うと、次の理由からになります。

  • 会社を設立する際には、必ず作成しなければならないと定められているため
  • 会社の運営は、一定の規則に則って行わなければならないと定められているため

 

このような理由から、定款が無いと会社が設立できません。

また、定款は作成するだけでなく、公証人という立場にある人の認証を受けなければ、その効力が有効になりません。

従って、定款の作成 ⇒ 公証人の認定という手続きを経て、定款は完成されることになります。

 

チェック!

公証人とは

公証人(こうしょうにん)とは、ある事実の存在、もしくは契約等の法律行為の適法性等について、公権力を根拠に証明・認証する者のことである。

(出典 ウィキペディア(Wikipedia))

 

つまり、ある書類に記載されている内容を「事実である」と公的に証明してくれるのが、公証人の認証であり、その認証を行う人を公証人と言います。

例えば、相続における遺言書などは、その効力について問題になることがあります。

しかし、一定の手続を経て公証人の認証を受けて作成された遺言書は、その内容について公的に効力が認められたものとなります。

公証人の認証を受けた遺言書であれば、効力の確実性が保証され、無効になることはまずありません。

 

公証人は、立場的には法務大臣が任命する公務員にあたります。

ただし、国や自治会からの給与は受けておらず、依頼人からの手数料を収入としています。

全国各地の公証役場と呼ばれる場所で活動しており、公正証書の作成、定款や私文書の認証、確定日付の付与などを行います。

2018年現在で、公証人の数は約500名、公証役場の数は約300箇所あります。

 

私も何度か公証人の認証を受けたことがありますが、定款などのようにある程度記載事項が決まっている書類については、認証を受けることはさほど難しくありません。
(記載内容については、この後解説します)

 

定款の種類

定款の作成について解説する前に、定款の見本を下記に掲載しているので、そちらをご覧ください。

【取締役会非設置会社の定款モデル】

【株式会社の設立】取締役会非設置会社の定款のサンプル

 

【取締役会設置会社の定款モデル】

【株式会社の設立】取締役会設置会社の定款のサンプル

 

このように、大まかに分けると、定款には取締役会非設置会社用と取締役会設置会社用の2種類があります。

尚、取締役会設置会社と非設置会社については、【STEP① 会社の基本事項の決定】の記事で解説しているので、そちらを参考にしてください。

株式会社の設立方法【設立手順① ~会社の基本事項の決定~】

 

日本の中小企業のほとんどは、1番の取締役会非設置会社です。

しかし、会社に取締役が3名以上いる場合は、取締役会を設置することができます。(任意です)

取締役会を設置していると、会社の意思決定の大部分を、株主総会ではなく取締役会の決議で決めることができます。

取締役会設置会社と非設置会社の違いは、下の表のようになります。

 

【取締役会設置会社と非設置会社の違い】

取締役会設置会社取締役会非設置会社
取締役の数3名以上1名以上
代表取締役必ず1名以上取締役全員に代表権
業務執行権限代表取締役各取締役
監査役の設置必須任意
株主総会の権限法定事項、定款記載事項会社の全ての事項

 

それでは、定款の種類が分かったところで、続いては定款の作成について解説します。

スポンサーリンク

定款の作成

会社を設立する場合の6つのステップのうちの2番目である、定款の作成・認証について解説します。

≪STEP②≫

定款(ていかん)の作成・認証

 

 

定款を作成するにあたっては、決まった書式というものは存在しません。

ただ、ほとんどの会社が同じような事項を記載するため、結果的に同じような書式になると言えます。

しかし、書式は決まっていなくても、その記載内容については一定の規則があります。

定款には、必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」というものが存在します。

定款の絶対的記載事項は、次の6つです。

 

【定款の絶対的記載事項】

  1. 目的
  2. 商号
  3. 本店所在地
  4. 設立に際して出資される財産の価格又はその最低額
  5. 発起人の氏名又は名称及び住所
  6. 発行可能株式総数

 

尚、この「絶対的記載事項」を記載していない定款は、定款の認証が受けられません。

以下、順番に絶対的記載事項の内容を解説します。

 

絶対的記載事項①【目的】

株式会社の事業の目的になります。

定款に記載していない事業を行うことはできません。

そのため、当面行う事業だけでなく、将来行う可能性のある事業も記載しておくことをお勧めします。

更に、定款に記載する目的の最後に、この一文を必ず追加してください。

前各号に附帯する一切の事業

この一文があれば、新しい業務を始める場合でも、目的に関連したものであれば定款を変更する必要がなくなります。

 

チェック!

定款の変更について

定款の内容の最終的な決定権者は株主になります。

株式会社の持ち主は株主であり、その株主が決めた定款の範囲内で経営を行うのが取締役になります。(よく言われる「所有と経営の分離」です)

株主が定めた定款の範囲内で適切に経営を行わないといけないため、会社内部の人間は定款に書いてある目的以外の事業を行うことができないのです。

 

しかし、この定款の内容は、変更することができます。

定款の内容を変更するには、決定権者である株主の同意を得なければなりません。

具体的には、株主総会を開いて、株主の特別決議を得る必要があります。

 

この定款の変更は、変更した内容について「登記が必要かどうか」で手続が変わります。

 

【当期が必要な事項の場合】

会社の商号、事業目的、発行可能株式総数、機関構成(役員構成)などにかかる変更を行った場合には、会社の本店所在地を管轄する法務局や関係各所への登記・届出を行う必要があります。

当期が必要な定款変更の内容は、次に掲げる内容になります。

  1. 会社の商号(社名)を変更したとき
  2. 会社の事業内容(目的)を変更したとき
  3. 会社の本店所在地を移転したとき(定款に具体的な所在地を記載している場合)
  4. 会社の発行可能株式総数を増やしたり、減らしたりしたとき
  5. 取締役会、監査役等の機関構成を変更したとき
  6. 会社の公告の方法を変えたとき
  7. 株式譲渡制限の規定を設けたり、廃止したとき
  8. 発行する株式の内容に関する定めを変更したとき
  9. 会社の存続期間を変えたり、廃止したとき(存続期間の定め)
  10. 株券を発行する旨の定めを設けたり、廃止したとき

これらの変更をした場合には、法務局への当期及び関係各所への届出が必要になります。

 

【登記に関係ない事項の場合】

登記に関係のない定款変更は、株主総会で定款変更の決議を経て、その議事の内容と決議の結果を記載した議事録を作成することで終了します。

この場合には、法務局での変更登記は必要ないため、その作成した議事録を会社に備え置くこと手続きは終了になります。

 

絶対的記載事項②【商号】

商号は、会社の名前になります。

この商号も、必ず定款に記載する必要があります。

 

絶対的記載事項③【本店所在地】

本店所在地は、会社の住所です。

通常、定款に記載する会社の住所は、「大阪府大阪市中央区」のように都道府県・市(又は区などの最小行政区画)までに留めておくことが多いです。

このような記載方法にすることで、会社が本店移転(引っ越し)をした際でも、同一市区内であれば定款を変更する必要がなくなります。

前述したように、本店所在地の変更は、定款の変更とともに登記が必要なため、手続きが煩雑になります。

 

尚、本店所在地は、細かい番地まで記載しても構いません。

ただし、番地を記載する場合には「大阪市中央区○○一丁目1番地1号」と、丁目は漢数字、番地と号は数字で記載してください。

 

絶対的記載事項④【設立に際して出資される財産の価格又はその最低額】

これは、簡単に言うと設立時の資本金の額になります。

前掲した定款のモデルで言うと、こちらの項目になります。

 

(設立に際して出資される財産の価額)

第25条 当会社の設立に際して出資される財産の価額は,金○〇〇万円とする。

 

絶対的記載事項⑤【発起人の氏名又は名称及び住所】

ここは、資金を出資してくれた人の住所と名前、持ち株数と出資額を記入します。

それぞれの持ち株数も一緒に記入すると、登記申請のときに「発起人の同意書」を用意する手間が省けます。

こちらも前掲の定款モデルにおける記載例を掲載しておきます。(このモデルでは、出資額は記載していません)

定款の発起人の記載例

 

チェック!

発起人(ほっきにん)とは

発起人とは、会社の設立を企画して定款をつくり、定款に必要な事項を記載して署名・押印する人を言います。

株式会社の設立には、1人以上の発起人が必要となります。

また、発起人は少なくとも1株以上の発行株式を引き受ける必要があるため、同時に会社の株主になります。

発起人の資格について法律上の制限はなく、個人のほか法人も一定範囲内で他の会社の発起人となることができます。

 

絶対的記載事項⑥【発行可能株式総数】

発行可能株式数は、会社がどれだけの数の株を発行できるかという最大数です。

これを記載することで、悪意ある増資により、会社が他人に渡ってしまうことを防ぐことができます。

 

発行可能な株式の最大数は、次の区分によって変わります。

  1. 公開会社
    • 株式の譲渡制限を設定していない会社
    • 発行可能株式数 … 既発行株式数の4倍
  2. 非公開会社
    • 全ての株式に譲渡制限をもうけている会社
    • 発行可能株式数 … 上限なし

 

チェック!

株式の譲渡制限とは

会社の株式は、株主が自由に売ることできます。

そのため、誰か全く知らない人が、いつのまにか会社の株式を取得してしまうという事態も起こりかねません。

そうなると、最悪の場合、会社を乗っ取られてしまう可能性もあります。

それを防ぐために、会社が許可した人だけに株式を売ることができるという規定を作ることができます。

それが「株式の譲渡制限」です。

 

つまり、会社が許可しない限り、勝手に株式を売買することができないということを、定款に記載しておくのです。

前掲の定款モデルでは、この部分になります。

定款の株式の譲渡制限の記載例

 

この株式の譲渡制限は、絶対的記載事項ではないですが、定款には記載しておいた方が良い項目になります。

尚、上記のモデルでは「株主総会の承認」となっていますが、ここは「代表取締役の承認」でも構いません。

 

多くの中小企業では、この株式の譲渡制限に関する項目が定款に記載されています。

そのため、多くの中小企業は非公開会社となり、株式の発行数に上限が無いことになります。

 

では、発行可能株式数はどのように決めるべきでしょうか?

具体的には、将来的にどれぐらい増資するかを考えて決めるのが、一番良いでしょう。

例えば、設立当初に発行する株式数が300株で、一株あたり1万円の場合では、資本金は300万円になります。

これを、将来1,000万円まで増資したいのであれば、発行可能株式総数は1,000株にしておく必要があります。

 

ここまでが定款の絶対的記載事項の解説になります。

この絶対的記載事項を定款に記載し、後は前掲の定款モデルを会社の状況に併せて、加筆・修正・削除等してもらえれば、定款の作成は終了です。

 

取締役会設置会社と非設置会社の違い

取締役会設置会社と取締役会非設置会社の定款の違いは、次の点になります。

 

  1. 取締役及び監査役の員数
    • 取締役会を設置する場合は、最低3名以上の取締役が必要となります
    • 監査役の人数は、「〇名以上」や「〇名以内」とするのが一般的です
    • 取締役会非設置会社では、監査役は必須ではありません
  2. 取締役及び監査役の任期
    • 取締役の任期は原則2年、監査役の任期は原則4年です
    • 株式の譲渡制限を規定している場合は、両方とも10年まで伸ばすことができます
    • 特に理由がなければ、10年としておきましょう
    • 尚、取締役会非設置会社も同様です
  3. 代表取締役
    • 代表取締役は通常1名ですが、取締役会設置会社は2名以上置くこともできます
  4. 設立時役員
    • 取締役会設置会社の場合、最低3名の取締役(内1人以上は代表取締役)と1名以上の監査役が必要です
  5. 株式の譲渡制限
    • 取締役会設置会社では、株式の譲渡に関する承認機関は取締役会になります

 

チェック!

電子定款について

定款は、紙で作成するのが一般的です。

しかし、紙以外にもPDFの電子定款を作成することができます。

その場合には、紙の定款認証に必要な収入印紙代4万円が不要になります。

しかし、一定の機材や知識が必要になるため、紙で作成する以上の費用や時間が掛かってしまう場合があります。

従って、初めて定款を作成する場合で、且つ自分で作成するのであれば、トータル的に紙の定款の方が安く・早く済む場合が多いです。

尚、定款などに貼る印紙税については、こちらの記事でまとめています。

会社の営業を開始すれば、契約書や領収書にも印紙は必要になるので、是非参考にしてください。

印紙税の納税義務や納付方法、対象文書について【第1号~第20号文書の一覧】

 

定款の認証

定款の作成が終われば、次は定款の認証を受けることになります。

ここでは、定款の認証についての手順や注意点などを解説します。

 

管轄の公証人役場を調べる

まず最初に、公証人役場の場所を確認します。

定款の認証は、設立した会社の本店所在地を管轄する法務局に所属する公証役場で行います。

全国の公証人役場の場所は、こちらから調べられます。

 

公証人役場へ持参するもの

定款の認証を受けるためには、次のものを持参する必要があります。

  1. 定款 … 3通
  2. 発起人(出資者)全員の印鑑証明書 … 1通
  3. 収入印紙 … 4万円
  4. 公証人へ払う手数料 … 5万円(現金のみ)
  5. 定款の謄本(写し)交付手数料 … 約2,000円(250円×ページ数)
  • 尚、代理人が手続きを行う場合には、委任状が必要になります

 

定款は3通とも発起人(出資者)全員の署名押印、割印及び捨印が必要です。

割印は、定款のページごとに必要です。

また、使用する印鑑は個人の実印になります。

 

チェック!

定款の事前チェック

公証人役場によっては、作成した定款の事前チェックをしてくれるところもあります。

会社の本店所在地を管轄する公証人役場が、事前チェックをしてくれるのであれば、是非活用したいところです。

チェックの方法は、公証人役場によって違うようですが、一般的にはFAXで原稿を送ってチェックしてもらう方法が多いようです。

定款の認証へ行く前に、管轄の公証人役場へ問い合わせて、事前チェックの有無を聞いてみるのも良いでしょう。

 

公証人役場での認証

公証人役場へは、あらかじめ電話で予約をしてから訪問します。

当日は、担当の公証人が細かく定款をチェックします。

その際に、もし訂正箇所があったとしても、よほどの重大な間違いでない限りは、その場で修正させてもらえます。

定款に押した捨印は、この修正の際に使用します。

定款が認証されると、3通のうち2通が「謄本」として返却されます。

1通は、この後の会社設立登記で使用します。

もう1通は、会社で保管します。

会社で保管する定款の謄本は、会社名義の銀行口座を開設する時などに必要になるので、大切に保存してください。

 

これで、定款に関する手続きは終了です。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
会社設立

おすすめ関連記事&Ad

スポンサーリンク
スポンサーリンク
髙荷祐二税理士事務所 風の向くまま気の向くまま
テキストのコピーはできません。