【確定申告】雑損控除における損失額の合理的な計算方法について

家財を運ぶリヤカー雑損控除
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こんにちは。税理士の髙荷です。

災害等により住宅や家財に損害を受けた場合には、雑損控除による所得控除を受けることができます。

この雑損控除において、損害金額(損失額)を計算する際には、原則として時価を基準に損害金額(損失額)を計算します。

 

しかし、時価による損失額を計算することが困難な場合には、次の「損失額の合理的な計算方法」を利用して損失額を計算しても差し支えないとされています。

そこで今回は、この「損失額の合理的な計算方法」について解説します。

 

尚、雑損控除については、こちらの記事で詳しくまとめています。

【確定申告】雑損控除の仕組みと確定申告書の書き方及び控除額の計算方法

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損失額の合理的な計算方法の対象になる資産

損失額の合理的な計算方法を利用して損害金額を計算することができるのは、次の3つの資産になります。

 

【損失額の合理的な計算方法の対象になる資産】

  1. 住宅
  2. 家財(家具、什器、衣服、書籍、暖房装置、冷房装置などの生活に通常必要な動産で、車両を除く)
  3. 車両

 

この3つの資産の損失額の合理的な計算方法について、順番に解説していきます。

 

住宅に対する損失額の合理的な計算方法

最初に、住宅に対する損失額の計算方法を解説します。

 

住宅の取得価額が明らかな場合

住宅について取得価額が明らかな場合の損失額の合理的な計算方法は、次に掲げる方法になります。

 

【取得価額が明らかな場合】

住宅の取得価額から、その取得の時から損失を生じた時までの期間の減価償却費の額の合計額を差し引いた金額に、被害割合を乗じた金額を損失額とします。

 

損失額 =(取得価額 - 減価償却費)× 被害割合

 

  • 減価償却費の計算は、次のとおりです。(以下同じ)
    • 減価償却費 = 取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
      • 経過年数が1年未満の場合には、6月以上は1年、6月未満は切り捨てます。
      • 償却率は、後掲【参考資料】「住宅・自動車の償却率(旧定額法)」を参照ください。
  • 保険金、共済金及び損害賠償金等で補填される金額がある場合には、その金額を差し引いた後の金額が損失額となります。(以下同じ)
  • 被害割合については、被害状況に応じて、後掲【参考資料】別表3「被害割合表」により求めた被害割合とします。(以下同じ)
    • 【参考資料】別表3の被害区分等は、罹災証明書の区分とは異なります。
  • 損失額には、損害を受けた住宅等の原状回復費用(修繕費)が含まれます。(以下同じ)

 

尚、「取得価額」については、こちらの記事で解説しています。

自動車を購入した場合の仕訳方法を一から解説しました

 

取得価額が明らかでない場合

続いては、住宅について取得価額が明らかでない場合の、損失額の合理的な計算方法になります。

 

【取得価額が明らかでない場合】

住宅の所在する地域及び構造の別により、後掲【参考資料】別表1「地域別・構造別の工事費用表(1㎡当たり)」により求めた住宅の1㎡当たりの工事費用に、その住宅の総床面積(事業用部分を除く)を乗じた金額から、その取得の時から損失を生じた時までの期間の減価償却費の額の合計額を差し引いた金額に、被害割合を乗じた金額を損失額とします。

 

損失額 = {(1㎡当たりの工事費用 × 総床面積)- 減価償却費} × 被害割合

 

家財に対する損失額の合理的な計算方法

家財(家具、什器、衣服、書籍、暖房装置、冷房装置などの生活に通常必要な動産で、車両を除く)に対する損失額の合理的な計算方法は、次のとおりです。

 

取得価額が明らかな場合

家財について取得価額が明らかな場合の損失額の合理的な計算方法は、次に掲げる方法になります。

 

【取得価額が明らかな場合】

各家財の取得価額から、その取得の時から損失を生じた時までの期間の減価償却費の額の合計額を差し引いた金額に、被害割合を乗じた金額とします。

 

損失額 =(取得価額 - 減価償却費)× 被害割合

 

取得価額が明らかでない場合

続いては、家財について取得価額が明らかでない場合の、損失額の合理的な計算方法になります。

 

【取得価額が明らかでない場合】

家族構成等の別により、後掲【参考資料】別表2「家族構成別家財評価額」により求めた家族構成別家財評価額に、被害割合を乗じた金額とします。

 

損失額 = 家族構成別家財評価額 × 被害割合

 

車両に対する損失額の合理的な計算方法

最後に、車両に対する損失額の合理的な計算方法を解説します。

 

【車両の損失額の合理的な計算方法】

生活に通常必要な車両に限り、その車両の取得価額から、その取得の時から損失を生じた時までの期間の減価償却費の額の合計額を差し引いた金額に、被害割合を乗じた金額とします。

 

損失額 =(取得価額 - 減価償却費)× 被害割合

 

尚、車両は、生活に通常必要な資産と認められる場合に限り、雑損控除の対象となります。

生活に通常必要であるかどうかについては、納税者本人又は納税者と生計を一にする配偶者その他の親族が、専ら通勤に使用しているなど、車両の保有目的、使用状況等を総合勘案して判断します。

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参考資料

前述した、住宅、家財及び車両に対する損失額の合理的な計算方法の参考資料として、次の4つの資料を掲載します。

  1. 別表1 地域別・構造別の工事費用表(1㎡当たり)
  2. 別表2 家族構成別家財評価額
  3. 別表3 被害割合表
  4. 住宅・自動車の償却率(旧定額法)

 

【参考資料】別表1 地域別・構造別の工事費用表(1㎡当たり)

木造鉄骨鉄筋コンクリート造鉄筋コンクリート造鉄骨造
千円千円千円千円
千葉164187184195
東京174227220238
神奈川166237204229
山梨170212193
全国平均159193182200
  • 1該当する地域の工事費用が全国平均を下回る場合又は値が存しない場合のその地域の工事費用については、全国平均の工事費用として差し支えありません。
  • このほかの都道府県については、最寄りの税務署にお問い合わせください。

 

【参考資料】別表2 家族構成別家財評価額

世帯主の年齢夫婦独身
万円万円
~29500300
30~39800
40~491,100
50~1,150
  • 大人(年齢18歳以上)1名につき130万円加算、子供(年齢18歳未満)1名につき80万円を加算します。

 

【参考資料】別表3 被害割合表

区分被害区分被害割合摘要
住宅家財
損壊全壊・流出・埋没・倒壊
100100

被害住宅の残存部分に補修を加えても、再び家屋として使用できない場合をいいます。

(倒壊に準ずるものを含む)

住宅の主要構造部の被害額がその住宅の時価の50%以上であるか、損失部分の床面積がその住宅の総床面積の70%以上である場合をいいます。

半壊5050

住宅の主要構造部の被害額がその住宅の時価の20%以上50%未満であるか、損失部分の床面積がその住宅の総床面積の20%以上70%未満で残存部分を補修すれば再び使用できる場合をいいます。

一部破損

住宅の主要構造部の被害が半壊程度には達しないが、相当の復旧費を要する被害を受けた場合をいいます。

浸水床上
1.5m以上
平屋80
(65)
100
(100)

海水や土砂を伴う場合には上段の割合を使用し、それ以外の場合には、下段のかっこ書の割合を使用します。

尚、長期浸水(24時間以上)の場合には、各割合に15%を加算した割合を使用します。

床上とは、床板以上をいい、二階のみ借りている場合は、「床上」を「二階床上」と読み替え平屋の割合を使用します。

二階建以上とは、同一人が一階、二階以上とも使用している場合をいいます。

二階建以上55
(40)
85
(70)
床上
1m以上
1.5m未満
平屋75
(60)
100
(100)
二階建以上50
(35)
85
(70)
床上
50㎝以上
1m未満
平屋60
(45)
90
(75)
二階建以上45
(30)
70
(55)
床上
50㎝未満
平屋40
(25)
55
(40)
二階建以上35
(20)
40
(25)
床下15
(0)
  • 車両に係る被害割合については、上記を参考に、例えば、「補修を加えても再び使用できない場合」には被害割合100%とするなど、個々の被害状況を踏まえ適用します。

 

【参考資料】住宅・自動車の償却率(旧定額法)

住宅の償却率(旧定額法)
建物の構造耐用年数償却率
鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造70年0.015
れんが造、石造又はブロック造57年0.018
金属造骨格材の肉厚4㎜超51年0.020
骨格材の肉厚3㎜超4㎜以下40年0.025
骨格材の肉厚3㎜以下28年0.036
木造又は合成樹脂造33年0.031
木骨モルタル造30年0.034
  • 耐用年数は、通常の耐用年数を1.5倍したものとなっています。
  • 上記以外の資産の償却率については、税務署にお問い合わせください。

 

自動車の償却率(旧定額法)
種別耐用年数償却率
普通自動車9年0.111
軽自動車
(総排気量660cc以下のもの)
6年0.166

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